6月9日(火)安心できる場所であれど、教室より楽しくない場所に(校内別室)
- 公開日
- 2026/06/09
- 更新日
- 2026/06/07
学校長より
本校では、教室に入りづらさを感じている子どもたちのために校内別室を設置しています。校内別室は、子どもたちが安心して過ごし、自分の心と体を整えるための大切な場所です。
一方で、私自身、校内別室の在り方について一層意識しなければならないと感じていることがあります。それは、「校内別室を教室より楽しい場所にしない」ということです。今回この文章を書いているのには、保護者の皆様に本校の考え方をお伝えするのと同時に、校内別室の運営に携わる自分自身への戒めや確認の意味もあります。
教室でつらい思いをしている子どもを目の前にすると、少しでも学校に来やすくしてあげたい、楽しい気持ちになってほしいという思いが湧いてきます。その気持ちは自然なものです。しかし、その思いが強くなり過ぎると、知らず知らずのうちに校内別室を「教室より魅力的な場所」にしてしまう危険もあります。
もし校内別室が、教室にはない特別な遊びや自由な活動がいつでもできる場所になれば、子どもにとっては「教室に行くより別室にいた方がよい」という選択肢になってしまうかもしれません。それは結果として、子どもの可能性を広げる支援ではなく、教室との距離を広げる支援になってしまう恐れがあります。
もちろん、だからといって校内別室を我慢の場所や訓練の場所にするつもりはありません。まず大切なのは安心です。「ここにいて大丈夫」「無理をしなくて大丈夫」と感じられることが出発点です。安心できる環境がなければ、挑戦する気持ちも生まれません。
その上で校内別室は、子どもの困り感を丁寧に見つける場所であり、教室とのつながりを保つ場所であり、小さな挑戦を支える場所でありたいと考えています。読書や学習、創作活動、教職員との対話などを通して心を整えながら、「少しだけ教室に行ってみようかな」と思える力を育てていきたいのです。
また、教室に戻ることだけを成功と考えるわけでもありません。挑戦してみた結果、再び校内別室に戻ることもあります。そのような時に安心して戻れる場所であり続けることも大切な役割です。安心できる居場所があるからこそ、人は挑戦する勇気をもつことができます。
校内別室は、「楽しいから行く場所」ではなく、「安心できるから行ける場所」です。そして、その安心を土台に、子どもが自分のペースで学校とのつながりを取り戻していく場所です。私自身も、その本来の役割を見失わないよう時折立ち止まり、試行錯誤しながら、子どもたちの安心と成長の両方を支えられる校内別室を目指してまいります。