6月4日(木)「自己肯定感を育てる」とは、“何でも肯定する”ことではない
- 公開日
- 2026/06/04
- 更新日
- 2026/05/23
学校長より
これまでの発信の通り、山田小の教育の中では、「自己肯定感を育てること」を大切にしています。自己肯定感とは、「自分には価値がある」「失敗しても大丈夫」と感じられる心の土台です。子どもたちが安心して挑戦したり、人と関わったりするために、とても重要な力だと考えられています。
一方で、元プロ野球選手のイチローは、あるインタビューで「“自己肯定感”という言葉は、ちょっと気持ち悪い」と語っています。私自身、イチローのこの言葉をきっかけに、改めて「自己肯定感」とは何かを考えさせられました。
この言葉だけを聞くと驚くかもしれません。しかし、イチローが疑問を投げかけているのは、「自分を大切に思うこと」そのものではなく、「何でも無条件に自分を肯定すること」に対してなのだと思います。
イチローは、「否定じゃないんです」「自分のやったこと、やろうとしていることに、常に“疑問符”をつけています」と話しています。
これは、「自分はダメだ」と思い込むことではありません。「もっとよくするにはどうしたらよいか」と、自分を振り返り続ける姿勢です。
さらに、「人が一番よくない状態になるのは、“自分は偉い”と思った時」とも語っています。
人は、自分は絶対に正しい、自分は特別だと思い込み始めると、人の話を聞けなくなったり、自分の課題を振り返れなくなったりします。子どもでも大人でも、「自分は偉い」と勘違いすることは、成長を止めてしまう危険があります。
だからこそ、子どもの自己肯定感を育む際には、課題のある言動には、しっかりと指導や助言をすることが大切です。「何をしても褒める」「嫌な思いをさせない」だけが教育ではありません。
ただし、その時に大切なのは、「行動」と「人格」を分けることです。
例えば、「友達をたたいた」という行動については、「それはよくない」と伝える必要があります。しかし、「あなたはダメな子だ」と人格まで否定してはいけません。
「行動は修正する。でも、あなたの存在価値は変わらない」
この安心感があるからこそ、子どもは失敗を認め、次の行動を考えられるようになります。
自己肯定感とは、「自分は完璧だと思い込むこと」ではありません。失敗や課題があっても、自分を見失わず、「もっとよくなれる」と思える力なのだと思いました。