学校日記

2019年10月に発生した台風19号の記憶と今回の台風15号対応で得た教訓

公開日
2025/09/07
更新日
2025/09/08

災害・緊急用

台風15号対応につきましてご理解、ならびに迅速な送迎にご協力をいただきありがとうございました。お陰様で時間はかかりましたが帰宅時については豪雨の中で帰宅をすることにはならず、交通事故などの報告もありませんでした。


4日に台風が発生し刻々と変わる台風進路と、生徒の登下校時間帯に及ぼす影響を総合的に判断する中で、保護者の皆様には送迎などで大変ご負担をおかけしたことお詫び申し上げます。


近年、世界的な気候変動の中で、私たちの予測を超えたことが日々発生をしております。先日、このホームページで特集した熱中症対策についても気温上昇もその一例です。


恩方中学校は影響が軽微でしたが、先日東京都内で発生した線状降水帯も同様です。

保護者の皆様にしてみると、学校を休校にした方が早いのではと思われる方もいらっしゃると思います。確かにそういった側面もあります。

子どもたちからも、「雨なんていつも降られてるから同じじゃん」との声がありました。事実、市内のほとんどの学校では通常授業で遅刻欠席を含めて特別対応をしている学校はほとんどありませんでした。


恩方中学校はなぜ台風や雪など天候に対して神経質になるのか。それはいくつかの要因があります。

1つは広大な学区です。


恩方中学校は上恩方町・下恩方町・小津町・西寺方町を中心とした学区で総面積37キロ平方メートルからなります。これは八王子市全体の5分の1にあたります。

分かりやすく言えば新宿区の2倍の面積をもちます。

この広大な学区から子どもたちが通学する。だからこそ市内唯一自転車通学を認められているわけです。片道自転車で30分かけて通っている生徒がいる以上、簡単に今がチャンスだから帰れとは言えないジレンマがあります。事実、台風の中でも3分の1程度の生徒は自転車で登校していました。


もう1つは災害の危険性です。

2019年10月に発生した台風19号の記憶です。写真を見ていただくとわかるかと思います。私が着任して2年目の秋でした。

陣馬街道は寸断し、川は氾濫、斜面は崩落。この記憶がある限り、私たちはお子様の安全を守る最大限の努力をしなければならないと考えています。


それに加えて、子どもたちが3年間に習得しなければならない教育課程や様々な教育活動を維持していかなければならず簡単には休校には出来ません。分かりやすく言うと、理論上は1日休校にすると別な休みを削って1日学校を振替なければならないのです。


加えて近年は災害だけでなく感染症対策もあり、様々なことを想定して教務主任が教育課程に突発的なことに対しての余裕はもたせています。学級閉鎖にしても大丈夫なようにです。しかし、まさかの為に余裕を沢山取れば子どもたちは学校へ来る日が増えて、家庭での時間や休息が取れなくなるリスクもあります。


いずれにしても、お子様の安全を第一に判断することが大切だと思いますので、今後ともご理解ならびにご協力をよろしくお願いいたします。


合わせて、

今回の対応の教訓がいくつかあります。


ひとつは先日も災害時情報伝達訓練を行いましたが、災害発生時の情報伝達手段をご理解ください。


①情報の基本はホームページと考えて下さい。東日本大震災の発生時でも、情報伝達が寸断され混乱が広がりました。しかし、ホームページも完璧ではありません。今回も7時から9時の間に約500人のアクセスが集中し、ホームページに負荷がかかっていました。災害時、サーバーを管理している大元のサーバーがダウンする可能性も視野に入れて下さい。


②Home&schoolは一斉にアクセス集中をおこしやすくダウンしやすいことがわかりました。学校では今後市教委に対しても改善のお願いをしていくと共に、災害伝達においてはあくまでも2次的手段と考えていきます。災害時には使えない可能性もあるということです。今回も7時台にアクセスが出来なくなり、ほぼ1時間以上は確認が出来ませんでした。


③ネット関連の情報伝達手段が寸断され災害伝達ダイヤルが開設された場合は「災害伝言ダイヤル」を必ずご確認ください。使い方は9月1日に行ったとおりです。学校の電話は有線ですので、NTTの回線が寸断すればつながらなくなります。


④今後、学校では複数の情報伝達手段を検討していきます。災害時用にも活用できる学校携帯電話などや比較的負荷が少ないSNSの活用です。一部私の方でも実験的運用ならびに検証を行っていますので、早い段階でお知らせします。


⑤生徒引き取りルールの見直しも実施します。働くご家庭の増加で、災害発生時に生徒の引き取り時間が長期化する可能性があります。円滑な引き取りを実施するためにも、再度、引き取り可能性がある方のお名前の見直しを行います。


以上、今回の台風15号の教訓とさせていただきます。

                                                                  副校長 早川功