9月9日(水)「白黒つける正しさ」から、「グレーを包み込むしなやかさ」へ
- 公開日
- 2026/09/09
- 更新日
- 2026/09/09
学校長より
子育てをしていると、子ども同士のトラブルや日々の出来事に対して、「どちらが正しいのか」「何が正解なのか」をはっきりさせたくなることはありませんか。
もちろん、命に関わることや、人を傷つけるような言動については、「してはいけないこと」と毅然と伝えることが大切です。社会には、守らなければならないルールがあります。
しかし、私たちが暮らしている世の中は、白と黒の二色だけでできているわけではありません。
世の中は、白と黒の二色ではなく、その間に広がる濃淡ほぼ無限の灰色でできています。だからこそ、白黒をつける力だけでなく、その灰色を受け止め、よりよい道を選び取るしなやかさが求められるのです。
子どもたちの日常に起こる出来事の多くも、この「灰色」の中にあります。
「正しい・間違い」の陰にあるもの
例えば、友達とのけんかです。
「相手が先に嫌なことを言ってきた。」
「でも、自分もカッとなって言い返してしまった。」
「本当は仲良く遊びたかった。」
このような場面では、それぞれの子どもに、それぞれの思いや理由があります。
出来事だけを見て結論を急ぐのではなく、「どうしてそうなったのだろう」「その時、どんな気持ちだったのだろう」と背景に目を向けることで、自分の行動を振り返り、相手の立場を考える力が育っていきます。
また、授業中に発言できなかった子がいたとします。
「勇気が足りなかった」と考えることもできますが、その日は緊張していたのかもしれません。前日に嫌なことがあって心が落ち着かなかったのかもしれません。考えを整理している途中だったのかもしれません。
「できた・できない」という結果だけで判断するのではなく、「今日はどうしてそうなったのだろう」と背景を想像すること。そのような大人のまなざしが、子どもに「失敗しても大丈夫」「また挑戦してみよう」という安心感を育てます。
大切なのは、「正解」よりも「納得解」
これからの社会では、答えが一つしかない問題よりも、立場や価値観の異なる人と協力しながら、よりよい答えを探していく場面が数多くあります。
だからこそ、子どもたちに身に付けてほしいのは、「どちらが正しいか」を決める力だけではありません。
相手の立場や背景を理解し、自分の考えも伝えながら、「みんなにとって今できる、よりよい方法は何だろう」と考え続ける力です。
それは、白黒を曖昧にすることではありません。守るべきルールは守りながら、一人一人の事情や気持ちにも目を向け、納得できる着地点を探していく姿勢です。
ご家庭でできる「対話」
ご家庭でも、お子さんとの会話の中で、少しだけ問いかけを変えてみてください。
* 「どうしてそうなったと思う?」
* 「その時、どんな気持ちだったのかな?」
* 「相手はどんな気持ちだったと思う?」
* 「次はどうしたら、お互いに気持ちよく過ごせるかな?」
このような対話を積み重ねることで、子どもは一つの見方だけではなく、多面的に物事を考えられるようになります。そして、自分の考えだけでなく、相手の考えも受け止めながら、よりよい行動を選択する力を少しずつ身に付けていきます。
世の中が白黒ではなく、濃淡ほぼ無限の灰色でできているからこそ、一つの「正解」を探すだけでは十分ではありません。
さまざまな立場や考え方を尊重し、「どうすればみんなにとってよりよいのだろう」と考え続けること。その積み重ねが、子どもたちの未来を支える力になります。
「白黒つける正しさ」だけではなく、「グレーを包み込むしなやかさ」を大切に育んでいきたいと考えています。