7月10日(金)今日の自分が未来の自分をつくっている(「なりたい自分像」に向けた自己決定・目的論)
- 公開日
- 2026/07/10
- 更新日
- 2026/07/10
学校長より
最近、生成AIを使っていて興味深く感じたことがあります。
生成AIは、これまでの履歴や与えられた情報をもとに次の言葉を選びます。突然まったく別の考え方になるのではなく、過去の積み重ねが今の答えに大きな影響を与えているのです。
その様子を見ながら、「これは私たち人間にも似ているのではないか」と考えました。
私たちは生まれてから今日まで、多くの人と出会い、さまざまな経験を積み重ねてきています。家庭での出来事、学校での学び、友達との関わり、成功や失敗の経験。その1つ1つが、ものの見方や考え方をつくり、今の判断や行動に影響を与えています。
だからこそ、人の考え方を根本から大きく変えることは簡単ではありません。長年積み重ねてきた経験や価値観があるからです。人は変わることができますが、その変化には時間がかかります。年齢の半分程度の時間が必要だという話を耳にしたことがありますが、それも決して大げさなことではないように思います。
例えば、「失敗すると恥ずかしいから挑戦したくない」と考えている子がいたとします。その子に「失敗しても大丈夫だよ」と1度伝えただけで、翌日から積極的に挑戦できるようになるわけではありません。しかし、友達の姿を見たり、大人から励まされたり、小さな成功体験を積み重ねたりする中で、「やってみてもいいかもしれない」という考え方が少しずつ育っていきます。
また、「友達と意見が違うことはよくないことだ」と感じている子もいるかもしれません。しかし、話合いや協働的な活動を通して、「違っていてもよい」「違うからこそ学べることがある」という見方を身に付けていきます。
こうした変化は短期間では起こりません。しかし、毎日の小さな自己決定の積み重ねが、その子の未来を形づくっていきます。
1年生の6歳のときに始めた「人の話を最後まで聞こう」「困っている友達に声をかけよう」という行動は、3年後、4年生になった9歳の自分を支える根や幹になります。
6年生の12歳のときに、「失敗を恐れず挑戦してみよう」「自分で考えて行動しよう」と決めて続けたことは、中学生、高校生へと成長した18歳頃の自分を支える土台になります。
もし小学校の間に、自分の課題のある言動や考え方に気付き、「今から変わろう」と行動を始めることができたなら、その変化は中学校、高校でさらに積み重なり、成人する頃には、自分自身を大きくバージョンアップすることも十分に可能です。
小学校は、子どもたちがさまざまな価値観や多様な仲間と出会える場所です。意見の違いや思い通りにならない経験もありますが、それこそが考え方を広げる機会になります。
子どもたちはまだ人生経験が十分ではありません。だからこそ、保護者や教職員など信頼できる大人の助言が大切です。大人が答えを与えるのではなく、「あなたはどうしたいの?」「どんな自分になりたいの?」と問いかけながら、子ども自身の自己決定を支えることが重要だと考えています。
私たちはつい「今できるかどうか」に目を向けがちです。しかし本当に大切なのは、その子がどのような方向に向かおうとしているかです。
今日の子どもたちの選択は、未来の自分をつくる材料になります。私たち大人は、「今の結果」だけではなく、「どんな自分になろうとしているのか」「昨日より少し成長しているか」という視点を大切にしながら、子どもたちの歩みを支えていきたいと思います。