9月1日は「防災の日」 ― 103年前、恩方でも失われた命。その教訓を未来へ ―
- 公開日
- 2026/09/01
- 更新日
- 2026/08/31
今日の出来事
■ なぜ9月1日が「防災の日」なのか
毎年9月1日は「防災の日」です。その原点には、1923年(大正12年)9月1日午前11時58分に発生した関東大震災があります。
相模湾北西部を震源とするマグニチュード7.9の巨大地震は、東京や神奈川を中心に甚大な被害をもたらしました。昼食の準備をしていた時間帯でもあり、各地で大規模な火災が発生。建物の倒壊、津波、土砂災害なども重なり、死者・行方不明者は10万人を超えました。
また、9月は台風などによる風水害が多い時期でもあります。関東大震災の教訓に加え、1959年の伊勢湾台風など相次ぐ自然災害を背景として、1960年に9月1日が「防災の日」と定められました。
防災の日は、災害をただ恐れるための日ではありません。過去の災害から学び、これから起こる災害から命を守るために備える日なのです。
■ 関東大震災は、恩方でも起きていた
関東大震災というと、東京や横浜の大火災の映像や写真を思い浮かべるかもしれません。当時の八王子は京浜地方と比較すると被害が少なく、市街地では大規模な火災も発生しなかったとされています。
しかし、「八王子は被害が少なかった」という言葉だけで終わらせてはいけません。
現在の八王子市域でも建物の倒壊や土砂災害が発生しました。そして、恩方に暮らす私たちが忘れてはならない記録があります。
当時の恩方村・滝の沢では、地震による山崩れが発生し、一家が土砂に埋まり、複数の方が亡くなったことが記録されています。
103年前、今の私たちが生活しているこの地域でも、大地が揺れ、山が崩れ、かけがえのない命が失われました。
これは、自然豊かな恩方に暮らす私たちに大切なことを教えてくれています。大地震の危険は建物の倒壊や火災だけではありません。山や崖に近い場所では、地震によって土砂災害が発生する可能性があります。地震の揺れから命を守った「その後」にも危険があることを知っておかなければなりません。
■ 次の大地震は「いつか」ではありません
そして、大きな地震は過去の出来事ではありません。
南関東の地下は複数のプレートが重なり合う複雑な構造になっています。政府の地震調査研究推進本部では、南関東地域で発生するマグニチュード7程度の地震について、今後30年以内の発生確率を70%程度と評価しています。
「30年以内」と聞くと、ずっと先のことのように感じるかもしれません。しかし、これは30年後に起きるという意味ではありません。10年後かもしれない。来年かもしれない。そして、明日かもしれません。
現在の科学では、大地震が発生する日時や場所を正確に予知することはできません。だからこそ、何も起きていない「今日」が、備えることのできる最も大切な時間なのです。
■ 「そのとき、自分はどこにいるだろう」
大地震が学校にいる時間に起こるとは限りません。
家で一人のとき、登下校中、部活動からの帰り道、友達と出掛けているときかもしれません。家族全員が別々の場所にいる可能性もあります。
そのとき、「誰かが何とかしてくれる」とは限りません。
家具の転倒防止はできているか。水や食料は備蓄してあるか。地域の避難場所を知っているか。家族と離れている場合、どこで会うのか。電話がつながらないとき、どのように安否を確認するのか。
ぜひ防災の日をきっかけに、家族で話し合ってみてください。
学校で行っている避難訓練も同じです。繰り返し行う訓練は、単なる学校行事ではありません。いつか本当に必要になるかもしれない、自分と誰かの命を守るための練習です。
■ 過去の悲しみを、未来の命を守る力へ
103年前の9月1日。
いつものように家族と過ごし、仕事をし、学校へ行き、明日も同じ日常が続くと信じていた多くの人たちが命を失いました。その中には、ここ恩方で暮らしていた人たちもいました。
私たちは地震そのものを止めることはできません。しかし、歴史から学ぶことはできます。備えることもできます。そして、その瞬間に正しく行動する力を身に付けることもできます。
防災用品を準備すること。避難場所を確認すること。家族で約束を決めること。訓練に真剣に参加すること。
その一つ一つに込められているのは、とてもシンプルな願いです。
「あなたに、生きていてほしい。」
そして、自分自身にも、そう願ってください。
「自分の命を大切にする。」
関東大震災を「昔、東京で起きた大地震」で終わらせず、**「私たちの恩方でも起きた災害」**として受け継いでいく。そして、そこで失われた命から学んだことを、これからの命を守る行動につなげていく。
昨日の教訓を、今日の備えに。
今日の備えを、明日の命へ。
9月1日「防災の日」。家族や大切な人と、命を守るために自分たちに何ができるのか、もう一度考える一日にしてほしいと思います。