学校日記

6月23日「いのちの日」朝会講話

公開日
2025/06/23
更新日
2025/06/23

校長室より




















 皆さんおはようございます。「梅雨」は毎日ジメジメ雨が続くはずなのに、真夏のような猛暑が続いていますね。暑さに負けない丈夫な体作りのためには、運動、食事、睡眠、どれも大切です。みんなで心がけていきましょう。先日の「南小こどもまつり」では、学年の垣根を越えて、参加者全員が笑顔でお祭りを楽しむ様子を目にすることができました。お店をやる人も、お客さんも、みんなが楽しめるような工夫をたくさんしていて、改めて南大沢小学校の子ども達のすばらしさを感じました。



 さて、今朝は少し校長先生自身の経験をお話させてください。校長先生は、今から20年近く前になりますが、海外に住む日本人の子ども達のための「日本人学校」というところで3年間先生をしていたことがあります。その場所は「イラン」という国にある「テヘラン日本人学校」という学校でした。当時のイランに住んでいた日本人は約300人。日本人学校に通う小学生、中学生の数は一番多いときでも33人。この南大沢小学校よりももっと小さな学校でした。知っている人がいるかもしれませんが、イランという国はイスラム教、という宗教を信仰している人が多く、宗教上の決まりごとから、例えば女性はいつもヘジャブと呼ばれる布で髪の毛を覆っていなければいけません。また男性も半ズボンは禁止で、男女が一緒にスポーツをすることもできません。食べ物では豚肉やお酒は口にしてはいけない、という厳しい決まりがあります。またイランという国は中東と呼ばれる砂漠が広がる土地にある、とも聴いていました。日本の生活とはまるっきり違う日常が待っている。当時の校長先生は、「イランに行ってください」と言われたとき、ワクワクしていましたが、同時に心配な気持ちにもなりました。周りの家族や友人も、とても心配してくれました。少しテヘラン日本人学校の様子を紹介したスライドを見てもらいます。さあ、果たして、3年間という時間をイランで生活して、どんな感想をもったか。結論から言えば、先生はイランという国が大好きになりました。もちろん、日本のようなコンビニもないし、テレビやインターネットの制限もあるし、不便なことはたくさんあって、日本との違いに驚くことばかりでした。でも、そこに住む人々の優しさや子供たちの明るさ、そしてはるか数千年前からの文明発祥の豊かな歴史や文化、食べ物のおいしさは日本にも決して負けない、とても素晴らしいものでした。イランで出会った人々の写真を少し紹介します。



 そんな校長先生が大好きな国、イランが今大変な事態に陥っています。つい10日前からイスラエルという国と戦争状態になってしまったというのです。毎日ニュースや新聞でミサイルや爆弾によって破壊され、燃えさかる建物、多くの市民の命が奪われている報道が聞こえてきます。皆さんにとっては、遠い外国の知らない世界の話かもしれません。それは当然です。でも、先生とっては違います。毎日笑い、時には涙した3年間を過ごしたとても身近な、大切な場所です。そこには先生が親しくなったたくさんの人たちがいます。その人たちが空爆におびえ、爆音に耳をふさぎ、防空壕に避難し、今必死に町の外に逃げようとしている、というのです。毎日ニュースを耳にするたびに、先生の心臓もドキドキして胸が痛くなります。現在イランで暮らす約280人の日本人も、子ども達も、バスに乗って今必死に安全な別の国まで逃げているそうです。彼らにとっては、「戦争によって住んでいるところを追われる」「いのちの危機に瀕する」「親しい人の死と向き合う」というものがもっともっと切迫した、身近に感じることなのだろうと思います。イランでは先週から400人を超える人が亡くなっています。パレスチナのガザ地区というところでは、2023年の戦争開始から55000人を超える人が亡くなりました。皆さんも聞いたことのある現在ロシアとの戦争状態にあるウクライナでは、軍事侵攻開始から6万人以上の人が亡くなり、40万に以上の人が大けがをしている、という事実があるそうです。軍隊の人だけでなく、平和に暮らしていた市民、子ども達が日々亡くなり、傷ついているのです。テレビの向こうで映像に映る戦争の現場で起きていること。どこどこで何人の人が亡くなりました、という報道の向こうで、亡くなった方一人一人には家族がいること。友人もいること。学校の先生も会社の仲間も、たくさんの「関係者」がいること。こうした一人一人がみな、心が張り裂けんばかりの悲しみに突き落とされている、ということを想像してください。皆さんの住んでいる日本もかつて戦争をしていた時代がありました。でも、それから80年という年月が経って、戦争を経験した人が少なくなり、同時に平和の大切さを忘れ始めている、ということはないでしょうか。同じ地球上で、皆さんと同じ小学生の子ども達が毎日血を流し亡くなっている、という事実から目を背けないでください。当たり前の「生活」「楽しみ」「毎日」は「いのち」があるからこそ、実現できるものなのです。今日、校長先生は自分が以前住んでいたイランというところで起きている戦争の話を通じて、「いのち」の大切さについて考えてもらおう、と思いました。「いのち」はどんな「もの」や「こと」や「お金」よりも大切なものであること、「いのちがあるからこそできること」についてぜひ一人一人が考えてください。この後教室に帰ったらこのカードに記入してみてください。「いのちがあるから…」ここに続く言葉を自分なりに考えてください。