松姫ものがたり その11
- 公開日
- 2021/12/27
- 更新日
- 2021/12/27
恩方の歴史と暮らし
ある日、信松院に里(さと)の娘(むすめ)が訪(たず)ねてきました。
「私は、はた織りの娘ですが、下手(へた)なのでどうか上手(じょうず)に織れる方法を教えてください」
松姫さまは、
「私も、もとは下手だったのですよ。でもこの手まりをつるしてはたを織っていたら少しずつ上手になりました。私のはた織りのお守りなのです。あなたにあげましょう」
といって娘に手まりをあげました。
娘は手まりをつるしてはたを織りました。
やがて里の家々から
「とんとんからり とんからり」
とはたを織る音が毎日聞こえてくるようになりました。
そしてこんな唄(うた)がはやったそうです。
「♪はたを織るなら とんからり
信松院の姫さまに 手まりをいただき とんからり
ゆらゆらゆらり ゆらゆらり
とんとんからり とんからり …♪」