松姫ものがたり その10
- 公開日
- 2021/11/30
- 更新日
- 2021/11/30
恩方の歴史と暮らし
ある夏の夜、松姫さまの夢まくらに立った観音さまは
「これよりひとり立ちして庵(いおり)を開き、朝夕のおつとめをする
がよい」
とお告(つ)げになりました。
しばらくして、八王子の南 御所水(ごしょみず)の里に信松院という、すがすがしい草の庵がたちました。
そのころ、徳川家康(とくがわいえやす)が関東一帯をおさめることになりました。
「武田家の家来たちは、たいへんすぐれているから大事な役割を与えよ
う。」
と八王子千人同心という組織(そしき)をつくらせました。
千人同心は、将軍のお供をして「大坂の陣」や「関ヶ原の戦」に行ったり、八王子十五宿(しゅく)や甲州道中(こうしゅうどうちゅう)のとりしまりをしたりしながら、信松尼さまをかげからお守りし、後に日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)や江戸城の火の番など警備(けいび)にあたりました。