11月17日全校朝会「デフリンピックから考えること」
- 公開日
- 2025/11/17
- 更新日
- 2025/11/17
校長室より
皆さんおはようございます。皆さんがいつも体育の授業で元気に体を動かしているこの体育館、今朝はなんだか様子が違いますね。先週の金曜日に5年生6年生が荷物を運び入れ、いよいよ「展覧会」の会場として「体育館」から「美術館」に生まれ変わろうとしているところです。「芸術の秋」、一人一人の思いが表された作品を観るのが今からとっても楽しみです。でも、今朝は「芸術」ではなく、「スポーツの秋」の話をしたいと思います。この週末、ここ東京で世界的なスポーツイベントが始まりました。「デフリンピック」、聞いたことある人はいますか?「デフリンピック」とは、耳の聞こえない人のオリンピックです。英語で「耳が聞こえない」という意味の「デフ」と「オリンピック」を組み合わせてできた言葉で、4年に一度、夏、そして冬の大会が開催されています。第1回大会は1924年、今から100年前にフランスのパリで開催されたので、その意味では、あのパラリンピックよりもずっと歴史が古いのです。そんな記念すべき100年目の大会がここ日本、それも東京で始まった、これは実はすごいことです。
さて、「耳が聞こえない世界」って想像できますか?私たちは一番に目、そしてその次に、耳から多くの情報を得ていることが分かりますね。その耳が聞こえない、「音のない世界」を生きている方々。耳の聞こえない人のことを「ろう者」といいますが、聞こえにくさの違いはあっても、全世界の5%、20人に1人くらいは「耳が聞こえにくい」人がいる、と言われています。その中でも完全に、もしくはほとんど音が聞こえない人が参加するのが、このデフリンピック。「耳が聞こえない人」たちがスポーツをする上で困ることはたくさんあると思いますが、日頃の生活においても、私たちが当たり前だと思っていることは、通用しません。例えば、
・身の回りの状況を音から気づけない。…玄関の呼び鈴、アラーム
・緊急時の対応が難しい。…地震速報、自動車、警報
・人とのコミュニケーション、会話が難しい。…手話をしない人もいる
・外見から気づいてもらえない。…聞こえていないことに気づかれない
そんな大変な日常を送りながらも、「ろう者」の方々は、「補聴器」と呼ばれる聞こえやすく音を伝えてくれる機器を使ったり、相手の表情や口の動き、風向きや匂いなど、「音」以外の情報をとても鋭くキャッチしたりして毎日を送っています。私たちが見習いたいこと、たくさんありそうですね。お年寄りや赤ちゃん、障害のある方、外国の方、どんな人も安心して過ごせる社会、町、そして学校を創るためには、想像力がとても大切です。学校の中でも見直せるところ、ぜひ皆さんのアイデアを聞かせてください。ユニバーサルデザインとはそういうことです。
最後に、校長先生が昨日観戦に行った「デフリンピック」についてお話します。家の近くに味の素スタジアム、そして「京王アリーナ」という東京オリンピックでも使われたスポーツ施設があります。ここではバドミントン競技が行われる、ということでしたので、せっかくの機会、観に行ってみました。入り口からたくさんの案内の方がいました。会場のあちこちに画面があり、動画や文字で、案内できるようになっていました。手話ができない人も、コミュニケーションできるように、コンピューターが話し言葉を瞬時に外国語に翻訳してくれる装置もありました。また、応援の仕方も「拍手」の代わりに手をひらひらと動かす「サインエール」と呼ばれるものを、日本人も外国人もやっていました。そして、何より一番驚いたのが、選手のレベルの高さです。世界大会だから当然かもしれませんが、音が聞こえない中でプレイしているとは到底思えないような迫力でした。デフリンピックは11月26日まで、東京のいろいろな競技場で行っています。実は、全ての会場、全ての試合が、「無料」で見られます。
約80か国から来た3000人もの凄い選手の活躍を間近で見られるチャンス。今度の週末など、ぜひ行ってみてください。