9月25日(金)思い通りにならないときに育てたい「視点を動かす力」
- 公開日
- 2026/09/25
- 更新日
- 2026/09/25
学校長より
子どもたちは、学校生活の中でたくさんの「思い通りにならないこと」に出会います。
「遊びたいのに、友達が別の遊びをしたいと言った」
「自分は悪くないと思うのに、先生から注意された」
「やりたかった係になれなかった」
「頑張ったのに、思ったような結果にならなかった」
そんなとき、最初に出てくるのは、
「嫌だ」
「納得できない」
「自分は悪くない」
「相手が悪い」
という、自分から見た気持ちです。
この気持ちをもつこと自体は自然なことです。
大切なのは、そこで終わらず、少しずつ見る場所を動かしていくことです。
① 自分主観の視点「自分は、どう感じている?」
「悔しい」
「嫌だった」
「自分の思い通りにしたかった」
まずは、自分の気持ちに気付くところから始まります。
自分の感情を言葉にできることは大切です。
ただし、
「自分が嫌だった」=「相手が悪い」
とは限りません。
② 自分を外から見る視点「今の自分は、どう見えている?」
「自分も強い言い方をしていたかもしれない」
「怒って、相手の話を聞けなくなっていたかもしれない」
「思い通りにならないことに、こだわりすぎていたかもしれない」
これは、自分を少し離れたところから見る力です。
感情の中にいる自分から一歩離れて、
「自分は今、どうなっているのだろう」
と考えられるようになることが、自己調整の第一歩です。
③ 相手の視点「相手から見たら、どうだった?」
「相手にもやりたいことがあったのかもしれない」
「相手も嫌な思いをしていたかもしれない」
「相手には、自分とは違う理由があったのかもしれない」
相手の立場に立つことは、相手の言うことを全部受け入れることではありません。
「自分には自分の気持ちがある。相手にも相手の気持ちがある」
と分けて考えられることが大切です。
④ 第三者の視点「そばで見ていた人には、どう見えただろう?」
「二人とも自分の話ばかりしていたように見えたかもしれない」
「どちらか一方だけが悪いようには見えなかったかもしれない」
当事者から少し離れることで、
「自分対相手」だけでは見えなかったこと
に気付けるようになります。
⑤ 全体の視点「みんなにとっては、どうだろう?」
「自分だけがやりたいことを通したら、みんなはどうなるだろう」
「みんなが怒鳴って要求を通そうとしたら、この教室はどうなるだろう」
学校は、自分一人だけで生活する場所ではありません。
自分の願いを大切にしながらも、
「みんなが安心して過ごすためにはどうしたらよいか」
まで考えられることも、大切な成長です。
⑥ 過去の自分の視点「前の自分なら、どうしていただろう?」
「前なら、すぐに怒っていた」
「前より話を聞けるようになった」
「少し我慢できるようになった」
人と比べるだけでなく、過去の自分と比べて成長を見る力も育てたい力です。
⑦ 未来の自分の視点「このあと、自分はどうなりたい?」
「今ここで言い返したら、あとでどうなるだろう」
「明日の自分は、この行動をどう思うだろう」
「あとで後悔しないためには、今どうしたらよいだろう」
目の前の感情だけでなく、少し先の自分を想像して行動を選ぶ力が育ってくると、子どもは少しずつ自分自身を調整できるようになります。
⑧ 自分が大切にしたいことの視点「自分は、どんな人でありたい?」
「思い通りにならないと暴れる人」ではなく、「自分の気持ちも相手の気持ちも大切にできる人になりたい」
「負けたら投げ出す人」ではなく、「うまくいかなくても、もう一度考えられる人になりたい」
目の前の勝ち負けや損得を越えて、「自分はどうありたいのか」を考えられることは、自立につながる大切な力です。
思い通りにならない経験は、成長の材料です。
子どもが困っていると、大人はつい、
「それならこうすればいい」
「相手が悪いね」
「先生に言ってあげよう」
と、すぐに解決したくなります。
安全が確保されている場面では、大人が介入して解決しすぎずに、
「あなたはどう思った?」
「あなた自身はどうだった?」
「相手から見たらどうかな?」
「このあと、どうしたい?」
と問いながら、子ども自身に視点を動かしてもらうことも大切です。
学校生活で起きる「思い通りにならないこと」は、ただ避けるべきものではありません。
そこには、
○自分の気持ちを知る力
○自分を客観的に見る力
○相手を想像する力
○全体を考える力
○先を見通す力
○自分で行動を選ぶ力
を育てる機会があります。
思い通りにならないときに、「誰が悪いか」だけで終わらず、見る場所を少しずつ動かして考えられる人になってほしいと思います。
その力は、小学校、中学校を卒業した後も、人と関わりながら生きていくための大切な力になると思います。
お子さんには、今現在はどの視点まで備わっていますか。…と同時に、私たち大人自身は、どの視点まで身に付けているでしょうか。
まずは私たち大人が視点を広げ、子どもたちにも広げていきたいものです。