10月30日全校朝会「平和について考える」
- 公開日
- 2023/10/30
- 更新日
- 2023/10/30
校長室より
とても穏やかな、過ごしやすい天気が続いています。先週末は上柚木公園へ全校遠足に行きました。豊かな自然の中で、縦割り班やクラスに分かれてみんなで遊ぶ。運動会に続いて南大沢小学校の素敵な姿とたくさんの笑顔を見ることができて、とても幸せな気持ちになりました。「平和だなあ」と思いました。でも、「ちょっと待てよ」と思います。本当に世の中は「平和」なんでしょうか。
世の中、世界に目を向けてみましょう。10月7日。皆さんにとって大切な運動会のあの日、中東のイスラエル、パレスチナの間で紛争が勃発しました。以来連日、爆弾が投下され何百人が亡くなった、住む場所を失った、病院や学校が爆撃された…という痛ましいニュースが報道されています。さらにその前、昨年の2月から、ウクライナとロシアの戦争がずっと続いています。この図を見てください。皆さんも聞いたことのあるユニセフが作成した、2021年末時点での世界で起きている人道危機の地図です。赤いところ、国や地域では、国と国、あるいは国の中で様々な紛争、暴力が起き、人々の人権が踏みにじられているのです。そしてそのほとんどは2年たった現在、解決するどころか増えている。毎日数えきれないほどたくさんの人が亡くなり、傷つき、食べ物や住むところすら手に入らない、明日への希望をもてない毎日が続いているのです。皆さんが見上げる空のその先では、毎日ミサイルが飛び交い人が亡くなっているのです。
もっと身近な話ではどうでしょうか。大人の身勝手な振る舞いで子供の命が危険にさらされる「児童虐待」。これは厚生労働省が作成した児童虐待に関する相談件数のグラフです。一番右が令和3年度ですが、年を追うごとに増えているのがわかります。叩かれたり、食事をもらえなかったり、勉強させてもらえずに家の仕事をすべて押し付けられていたり…。「日本だけは別」ではなく、私たちが暮らしているこの日常だって、決して手放しで「平和」だとは言えないのです。
「平和」とは何なのか、辞書で調べてみると、「1 やすらかにやわらぐこと。おだやかで変りのないこと。2 戦争がなくて世が安穏であること。」(広辞苑)と書かれています。そしてみんなが学校に通い、毎日勉強している究極の目標は、そんな「平和な世の中を創ること」です。それは、「教育基本法」という法律にもしっかりと明記されています。
じゃあ、一体何をしたらいいのでしょう。テレビの画面を見て「かわいそう」「ひどい」「平和な日本でよかった」…いろいろなことを感じることと思います。でも、ぜひともそこから一歩踏み出して、「自分に何ができるのか」考えてみてください。なぜなら、平和は勝手にやってくるのではなく、一人一人の心の中に生まれたものが合わさってできるからです。だれかが「自分だけよければいい」「ほかの人のことなんてどうでもいい」と行動していたら、「絶対に」平和は訪れないのです。「自分だけよければ」の反対は「ほかの人の幸せを願う」ということでしょうか。ニュースや新聞をしっかり見て考える、もよいでしょう。世界地図を眺めたり、募金をしたりすることだってできる…でも、大切なのは一度きりではなく続けていくことです。いじめに気が付いたら勇気をもって止める、困っている友達がいたら優しく声をかける、できる範囲で家の仕事を手伝う、地域の人に元気な挨拶をすることだって、立派な「ほかの人のため」につながる行動です。世界中の人が「自分と、そしてほかの人の幸せ」を考えて暮らしていったら、きっと「平和な世の中」が実現するはずです。今朝は「平和」について考えるお話でした。