9月1日(火)学校は、大人になるための練習の場所(「友達」と「仲間」の違い)
- 公開日
- 2026/09/01
- 更新日
- 2026/08/29
学校長より
保護者の皆様は、お子さんが大人になったとき、どのような力を身に付けていてほしいと願っていますか。
勉強ができる人でしょうか。
優しい人でしょうか。
困っている人を助けられる人でしょうか。
あるいは、自分で考え、自分で決め、自分らしく社会を生きていける人かもしれません。
答えは一つではありません。しかし、どのような願いであっても、その土台になる力があるように思います。それは、「人と関わりながら生きていく力」です。
社会に出れば、自分と気の合う人ばかりではありません。考え方の違う人とも一緒に仕事をし、ときには意見がぶつかることもあります。少し距離を置いた方がよい日もあれば、自分から歩み寄る日もあります。困ったときには、誰かに相談することも必要になります。
私は、学校は勉強をする場所であると同時に、そのような力を少しずつ身に付ける「大人になるための練習の場所」でもあると考えています。
子ども同士のトラブルが起きると、私たち大人はつい、「その子とはもう関わらないようにしよう」「席を離そう」「クラスを替えよう」と考えてしまうことがあります。
もちろん、いじめや暴力など、安全を最優先にしなければならない場面では、学校は迷わず子どもを守ります。
一方で、友達同士のすれ違いやけんか、気まずさなどは、子どもが成長する中で避けて通れない出来事であり、捉え方によっては、成長する大きなチャンスでもあります。
そのような場面で私たちが大切にしたいのは、「今、このトラブルをどう解決するか」だけではありません。
その経験を通して、子どもたちが将来社会で生きていく力を育てることです。
少し、大人の生活に置き換えて考えてみます。
職場には、休日も一緒に過ごすような「友達」がいるかもしれません。
一方で、それほど親しいわけではなくても、同じ目的に向かって仕事をする「仲間」がいます。
もし友達と気まずくなったら、少し距離を置くかもしれません。
時間がたってから話しかけるかもしれません。
必要な仕事だけはきちんと行おうと考える人もいるでしょう。
信頼できる人に相談することもあると思います。
それでも、「友達と気まずくなったから会社へ行きません」という人は、多くありません。
友達との関係と、仲間としての関係を分けて考えているからです。
学校も同じです。
教室には特に仲の良い「友達」が数名います。そして、一緒に学び、一緒に生活する「仲間」がたくさんいます。
友達だからこそ、気持ちがぶつかることがあります。
けんかをすることもあります。
それは決して珍しいことではありません。
だからこそ私たちは、「誰とでも仲良くしなさい」と伝えたいわけではありません。
「今日は少し距離を置こう。」
「今は別の友達や仲間と過ごしてみよう。」
「授業や係活動は一緒に頑張ろう。」
「気持ちが落ち着いたら話してみよう。」
「困ったら先生や家族に相談しよう。」
そんなふうに、自分に合った方法を考え、自分で選べる子になってほしいと願っています。
人間関係は、「仲良くする」か「関係を切る」かの二択ではありません。
距離を調整することもできます。
時間を置くこともできます。
相談することもできます。
必要な場面だけ協力することもできます。
そうした様々な選択肢を知り、そのときの状況に応じて選べることが、自分自身を守り、社会の中で生きていく力につながるのだと思います。
学校と家庭が目指しているのは、「けんかをしない子」を育てることではありません。
友達とうまくいかない日があっても、自分の気持ちを整理し、助けを求めながら、仲間の中で生活を続けていける子を育てることです。
子どもたちは、学校で毎日、人との関わり方を学んでいます。
うまくいく日もあれば、失敗する日もあります。
謝る日もあります。
許す日もあります。
勇気を出して相談する日もあります。
その一つ一つが、大人になるための練習です。
だから私たちは、目の前のトラブルだけではなく、その先にある十年後、二十年後の子どもの姿を思い描きながら、日々子どもたちと向き合っています。
学校と家庭では、それぞれ役割は違います。
しかし、「子どもが幸せな人生を歩んでほしい」という願いは同じです。
だからこそ、その場の解決だけではなく、「この経験が将来どんな力につながるだろう」という視点を、学校と家庭で共有していけたらと思います。
保護者の皆様は、お子さんが大人になったとき、どのような力を身に付けていてほしいと願っていますか。
その答えを思い浮かべながら、今日のお子さんの姿を見つめてみると、学校で経験している一つ一つの出来事が、少し違って見えてくるかもしれません。