6月26日(金)「覚えたつもり」を「使える力」に変えるために(エビングハウスの忘却曲線から考える家庭学習の役割)
- 公開日
- 2026/06/26
- 更新日
- 2026/06/22
学校長より
「学校で勉強したのに、家でなぜまた復習するの?」このような質問を子どもたちから時々受けます。その答えを考える上で参考になるのが、心理学者ヘルマン・エビングハウスの「忘却曲線」です。
エビングハウスの研究によると、人は新しく覚えたことを何もしなければ少しずつ忘れていきます。これは「頭が悪いから」でも「努力が足りないから」でもなく、人間の脳が効率よく働くための自然な仕組みです。
私たちの脳は、すべての情報を保存しているわけではありません。「今後も必要な情報」と「もう使わなそうな情報」を整理しながら生活しています。
例えば、「昨日の夕食」は思い出せても、「3週間前の火曜日の夕食」をすぐに答えられる人は多くありません。その情報を普段使わず、思い出す機会も少ないため、脳が「今は必要ない情報」と判断しているからです。
一方で、友達の名前や自宅までの道順などは何度も使うため、なかなか忘れません。
学習も同じです。授業で習った漢字や計算方法も、その後に使わなければ少しずつ忘れていきます。しかし、復習によって思い出すことで、「今後も必要な情報だ」と脳が認識し、記憶が強化されます。
例えば、
・音読した文章をもう一度読む
・漢字を数回書いてみる
・算数の問題を解き直す
・その日に学んだことを家族に話す
こうした短時間の復習でも、大きな効果があります。
特に低学年では、長時間机に向かうことよりも、「その日のうちに少し思い出すこと」が効果的です。復習の本質は、「もう一度勉強すること」ではなく、「思い出すこと」にあります。
家庭学習の目的は、たくさんの宿題をこなすことではありません。学校で学んだことを、「知っている」から「使える」へ変えていくことです。
本校では、家庭学習を学びを定着させる大切な機会と考えています。そして高学年になるにつれて、「何を復習する必要があるか」を自分で判断できる自己調整能力も育てていきたいと考えています。
また、学習内容が十分定着している子どもたちには、「もっと知りたいこと」を調べたり、自分なりの課題に取り組んだりする時間として活用してほしいとも考えています。
学習は、一度で完璧に覚えるものではありません。
忘れることは自然なことです。しかし、忘れかけたときに思い出すことで、知識は確かな力へと変わっていきます。
だからこそ家庭学習は、「新しく覚える時間」ではなく、「大切なことを思い出す時間」であり、「自分の学びを広げる時間」でもあるのです。