朝会講話「校長先生のニュースの読み方」
- 公開日
- 2024/11/25
- 更新日
- 2024/11/25
校長室より
みなさん、おはようございます。音楽会、そして金曜日の開校40周年記念式典、大きな行事が続いた11月でしたが、何ともう最後の週に入ってしまいました。本当は、今朝は「落ち葉拾い集会」の予定だったのですが、校庭でたくさん遊んでいる皆さんは知っている通り、まだまだ校庭に落ち葉は落ちていません。もう少ししたら、びっくりするほどたくさんの落ち葉が落ちてきますよ。そうしたら、みんなで協力してたくさん集めましょう。
さて、今朝は校長先生からニュースを紹介します。クロームブックの「全校クラスルーム」に、校長先生が時々ニュースを紹介しているの、知っていますか?読んだことある人?内容も、文字も、ちょっと難しいですよね。全部読めなくて当然。でも、写真や見出しを見てみんなにいろいろ考えてほしいな、と思って紹介しています。ニュースはその字の通り「新しい出来事」という意味ですが、その受け取り方は人それぞれです。ただ文章を読んでも、「ふーん」で終わってしまうこともあるでしょう。でも、ちょっと見方を変えたり、これまで自分が知っていたことと関連付けたりしてニュースを読んでみると、書いてあることの裏側、自分自身とのかかわりなど、様々なことに気づいて、俄然ニュースが面白くなります。世の中って知らないことだらけで面白いな!もっと知りたいな。誰かに話してみたいな、と思ってほしいのです。
さて、今日のニュースです。アメリカのCNNというテレビ局が配信したニュース。「スミロドンの赤ちゃんミイラ発見!」という記事です。スミロドンって知っていますか?「サーベルタイガー」という名前の方が知られているかもしれません。今から250万年前から1万年前くらいまで、生息していたという大型のネコ科哺乳類、まあライオンやトラの仲間ですね。一番特徴的なのはその牙。刀を意味する「サーベル」という名前は、その立派な牙から来ています。ポケモンのキャラクターで知っている人も多いですね。残念ながら走るのがあまり速くなく、地球が寒くなった時代に生存競争の中で絶滅してしまいました。これまでアフリカの各地から化石が発見され、そのとてつもなく大きな牙にみんなびっくりしていました。ところが、今回のニュースはそのスミロドンの仲間のネコ科動物の赤ちゃんが、化石ではなく「ミイラ」の状態で見つかったというのです。え?何万年も前の生き物が化石にならずに見つかるなんてありえないよ、と思うよね。その通り。ふつうは皮膚や内臓はすぐに腐ったり他の動物に食べられて無くなってしまったりします。ではどうして今回はミイラで見つかったのでしょう。それは、地球の高い緯度、つまり北極の近くの地域に広がる1年中凍り付いた大地の中から見つかったからなのです。時々、マンモスも氷漬けのミイラの状態で見つかることがあったのですが、今回のような「スミロドン」が見つかったのは初めて。骨ではなくて、毛皮や皮膚、内臓が凍った状態で見つかると、どんなことが分かるのでしょう?まず、身体の正確な大きさが分かります。それから皮膚や毛皮の色が分かります。お腹の中を調べれば、どんなものを食べていたかもわかります。また皮膚の組織などから大切な遺伝情報「DNA」の仕組みも分かるかもしれません。もしもスミロドンが今のライオンと似ているDNAをもっていたら、もしかしたら現代に蘇らせることもできるかもしれないのです。すごいよね。考古学や歴史、生き物にあまり興味がない人でも、驚きのニュースだと思います。でも、ここで終わってはもったいないのです。このニュースからもっともっといろいろなことを考えることができると思うのです。例えば、「アフリカにいるというスミロドンがどうしてロシア、アジアにいたんだろう」「どうして氷漬けのミイラを見つけることができたんだろう」「どうしてマンモスのミイラは見つかっていたのに、肉食動物のミイラは見つかっていなかったのだろう」とかね。いろいろありますよね。また、こんな見方もあります。「永久凍土の中からマンモスや貴重な生き物のミイラが見つかるなら、勝手に盗って売られたりしそう」とか、「この写真、実は大きな毛深い猫の死体なんじゃないの?流行りのフェイクニュースかも」とか…。
例えば、校長先生が気がかりだったのは、発見された場所が「極東ロシア」だったということです。皆さん知っている通り、ロシアは今戦争をしている国です。日本をはじめ多くの国々がロシアの戦争に反対しています。そうすると、「果たして今後ロシアでこうした昔の生き物の調査なんてできるのだろうか?」という疑問が湧いてきます。また、「永久凍土」が融けている、すなわち「永久じゃない凍土」になっている、という事実です。みんながよく知っている地球温暖化の影響が、こんなところにも及んでいるのです。そうなると、手放しで喜んでもいられない、他にも温暖化のために起こった出来事はないのかな?と気になり始めます。こうした一つの事実からどんどん広がる、時には自分の知っていることともつながる、というのが「ニュースの読み方」の一番大切なところです。誰かが言っているから「ふーん」、テレビが伝えているから「ふーん」では、物事を判断する力はつきません。
今朝は「スミロドンの赤ちゃんのミイラ発見」というニュースから、皆さんにニュースの読み方について考えてもらいました。クロームブックの全校クラスルームにいろいろなニュースが紹介されています。ぜひ、読んでみて、感想をコメント機能で伝えてください。お話を終わります。