赤信号、みんなで渡れば怖くない!?
- 公開日
- 2017/11/29
- 更新日
- 2017/11/29
校長より
5つ前の記事で、6年生の道徳を取り上げ、これからの道徳の授業は「考えて、議論する」ことが大事だということを記事にしました。
2年生の教室の前を通りかかると、道徳の授業をやっているようなので、中に入ってみました。
「あかしんごう」という読み物資料で考えを深めています。
あらすじは、次のとおりです。
・けんたは、学校から帰ると出かけることになっていた。
・母親は、けんたに「学校が終わったら、早く帰ってくるのよ。」と伝えていた。
・曲がり角を曲がると、信号が青になっていた。
・急いで走ったが、信号は赤になってしまった。
・「仕方ない。信号が青になるまで待とう。」と思ったが、後ろから来た高校生くらいのお兄さんたちが「赤信号、みんなで渡れば怖くない。」と大声で言って渡っていってしまった。
担任は、「自分がけんただったらどうする?」と聞き、マグネットの名前カードを「わたる」「まようけどわたる」「まようけどわたらない」「わたらない」の4つの選択肢のところに貼るように指示しています。
子供たちは、当然のように「わたらない」のところに名前カードを貼ります。
このように、自分の立場を明確にすることは重要です。
しかし、この反応だけでは授業になりません。
子供たちの「建前」を揺さぶる必要があります。
我慢できません。
担任と授業をバトンタッチです。
「わたる」の選択肢のところに「校長先生」と大きく書きます。
子供たちからは、一斉に「え〜」という反応です。
校長:「だって、ママが早く帰ってきてって言ってるもん。だから、赤信号でも渡らなきゃ。」
児童A:「だめだよ、青信号でないと。」
校長:「だって、帰らないとママに怒られちゃう!みんなも、ママ、恐いでしょ?」
一斉にうなずく子供たち。(校長は、心の中で爆笑です。)
校長:「ママに怒られないうちに、早く帰らないと!」
児童B:「赤信号で渡ると死んじゃうよ。」
校長:「大丈夫だよ。高校生の人も渡っているし。誰も見てないよ。」
こうすると、気持ちに揺れの出てくる子がいます。
児童C:「ぼく、どうしようかなぁ・・・。」
そういう子を見付けて、怪しく声をかけます。
校長:「さぁ、校長先生と一緒に渡ろう!」
その子のそばに行って、手を差し伸べます。
すると、他の子たちは、「ダメ〜っ!」の大合唱です。
道徳の授業では、こうした「建前」と「本音」がぶつかる葛藤場面を考えさせることに意義があります。そのことが、「考えて、議論する」ということに結び付くのです。
一応、お断りしておきます。
2年生が下校後、「校長先生って、赤信号渡っちゃうんだよ。」と話すかもしれません。
校長は、交通規則は遵守します。
あくまで、授業の中での演出です。【校長】