宮上中トピックス

命の大切さを共に考える日

公開日
2022/07/11
更新日
2022/07/11

学校の様子

7月11日(月)
 市内全校で実施している「命の大切さを共に考える日」の取組。宮上中では道徳授業や特別活動で取組を行っています。今日の全校朝礼では、校長講話でヨシタケシンスケさんの「このあとどうしちゃおう」を紹介しながら、命について話がありました。
 2年生はいよいよ明日から職場体験。6校時に前日指導が行われました。社会の中での体験に向けて、最後の確認を真剣に臨んでいました。先生たちも体験先職場の方々と忙しく連絡を取り合っていました。
 放課後は2学期の生徒会本部役員選挙に向け、選挙管理委員会が始動しました。

<校長講話の内容>
*まずは、今の学校を作っているみんなに感謝
 夏休みまで、いよいよあと2週間となりました。学校は、個性も体格も違う色々な人が集まって生活をしています。人はそれぞれ違うものだから、みんな同じ、みんな一緒、みんな全員が仲良く、なんてそもそもありえないと思っています。いろいろな人がいる中に入っていくことは不安だし、みんなそれぞれが大なり小なりそんな思いをもって入ってきたことと思います。その中で、お互いが近かったり遠かったりとほど良い距離を作りながら、一つになるところでは一つになるように上手に生活している。そうやって頑張っている皆さんは、ほんとうに素晴らしいと思います。宮上中は、みんな一人一人が作り出す雰囲気によって、良い学校になっているなと思います。
*おじいちゃんが亡くなった
 今日は「命の大切さを共に考える日」の取組の一つとして、この朝礼で皆さんに私からお話をします。お話するにあたって、こんな話をしよう、あんな話をしようと色々なことが思い浮かびましたが、今日は、本の紹介をしながらお話をすることにしました。
 ヨシタケ シンスケさんという絵本作家がいます。いろいろな作品がいくつもの賞をもらっていますので、知っている人も多いのではないかと思います。私の妻がこの方のファンで、先日も世田谷でこの方の展覧会が行われていて、家族で観に行ってきました。
 その作品の一つに、「このあと どうしちゃおう」という本があります。この本は、「この間、おじいちゃんが亡くなった。」で始まります。私の父もちょうど昨年の10月、修学旅行の前日に亡くなりました。長く入院していたので、来るべき時が来た、という覚悟はできていましたが、辛く悲しい時間でした。亡くなるまでの間、親父はベッドで一人、何を考えていたんだろうな、といろいろととりとめもなく考えました。
 ちょうどそんなことがあったものですから、私の子どもたちもこの本の出だしから、主人公の男の子を自分たちに重ねて読んでいるようでした。
 さて、その本はこう続きます。「おじいちゃんの部屋をみんなで掃除していたら、ベッドの下から一冊のノートが出てきた。」そのノートの題名がこの本の題名なのですが、ノートにはおじいちゃんの絵と文字で、自分が死んだらどうなりたいか、どうしてほしいかがたくさん書いてあったというのです。 死んでからどうなりたいかって?んん?と思うかも知れませんが、もちろんそれは想像の世界です。別のものに形を変えてこの世の様子をそっと見に来たり、その後天国に行っておばあちゃんに会ったりして天国ライフを満喫し、天国に飽きたら、生まれ変わりセンターに行って別のものに生まれ変わってこの世に戻ってきたりと、楽しい想像があれこれと書かれています。
 ノートを見終わって、男の子は考えます。おじいちゃんはどうしてこんなノートを書いたんだろうと。自分の死後のことが楽しみでこのノートを書いたのか、それとも実は死ぬのが淋しくて怖くて、だから怖くないようにこんなノートを書いたんだろうか、と。
*死んだ後を考える→僕には死ぬまでにやりたいことがたくさんがある
 そしてこの本の私が素敵だなーと感じたのは、最後のところです。ぼくもこのあとどうしちゃおうノートを作るぞ、といって早速ノートを買ってくるんです。でもすぐに、自分が死んだ後のことを考えようとして、生きているうちにやりたいことがいっぱいあることに気付きます。「考えなきゃいけないことがいっぱいあるなあ。」といろいろなやってみたいことを思い浮かべるのです。
*考え続けること
 ヨシタケさんの本を皆さんに是非お勧めします。絵本ですが、中身は深いです。「りんごかもしれない」が代表作ですが、他にも今図書室に置いている「どんなふうに見えるかな」をはじめ、「なんだろう なんだろう」「にげて さがして」などが皆さんに特におすすめします。保健室には養護の先生がご自分の本を置いていますよ。
 このごろ、深く考えなかったり、偏った考えによったりで失われる命が本当に多いことに心が痛みます。軍事攻撃でたくさんの命が失われていること、移民のトラックに詰め込まれて50人以上が亡くなったこと、銃の乱射で、親のひどい扱いで、、、みんな、一方的な考え、浅い考えが原因だと感じます。
 考え続けること、そしてほかの人について想像の限りを尽くしてみること。それぞれがそうすることが、命というものを本当に大切にいつくしむことになるのだと思います。
*さいごに
 色々考えてみたときに、不安やストレスを感じることもあります。それは、おかしいことではありません。当たり前なのです。大声で叫んで一人で紛らせて打ち消す方法もありますが、すべてうまくいくわけではありません。ですから不安な人はどうか信頼できる大人に相談してみましょう。まずはだれかに打ち明けてみることです。校内にはあちこちに相談できる場所や相談を呼び掛けるポスターがあります。24時間相談できるところ、SNSで相談できるところもあります。今日、帰りまでに皆さんに改めていろいろな相談先が書かれたプリントをお渡しします。必要な時は遠慮なく活用してください。

写真上)2年生職場体験前日指導のようす
写真中)第1回選挙管理委員会
写真下)今日も暑い一日。夏空の下、エアコン室外機がうなりを上げてがんばっていました。