学校日記

授業寸景 No15

公開日
2010/06/30
更新日
2010/06/30

校長より

授業寸景 No15

                  某月某日 第5校時 算数

 前の時間では何をしましたか? シーン。体育のような算数でし
たね。ハーイ。で、授業は始まった。
 50メートル歩いて(走ったりして)、タイムを計り、その測定
タイムをそれぞれ記録し表にまとめてある。その表を見て、気がつ
いたこと、わかったことなど、子供たちが発言する。本時間の学習
は、どうやら、「速さを比べるにはどうするか」という内容のよう
である。
「かかったタイムの速いのが、ほんとに速いといえるのか」。
「時間で比べるのか、距離で比べるのか」。子供たちは、「かかっ
た時間の短いほうが、速い」。「時間のかかったほうが遅い」。と
経験的にわかったことを根拠にして次々に発言する。
 指導者は、その経験知に揺さぶりをかける。黒板に一枚カード(
表)を貼る。
 A君 50メートル 30秒、B君 40メートル 30秒、C君
50メートル 40秒。さて、このABCでは一体、誰が速いのかと指
導者は問う。子供たちはじっと見て、答える。「A」です。指導者は
問い返す、
「A? どうしてAなの? 説明して」。わかっているのだが、説明と
なると、どう説明したらいのか、子供たちには少しためらいがある。
 じゃあ、今からグループで話し合って、と指導者。子供たちは、グ
ループになって活発に話し合う。「距離が一緒だったら、または時間
が一緒だったら、見た目でわかる」、「1メートル当たりでわかる」、
「計算しよう」、「どう説明するかがポイントだ」、「説明は短いほ
うがわかりやすい、いや、長いほうがわかりやすい」、「BとCは計算
するしかない」、子供たちがいっていることは間違いない。
 これをどう説明するか、どう説明すればいいか。
 指導者は、頃合を見て、班で発表してと指名。「A君とC君を比べる。
C君はA君と同じ距離だから、タイムを比べるとC君のほうがかかってい
る。だから、この場合はA君のほうが速い」。じゃあ、ここから先は、
次の班に説明してもらいましょう。
「次に、A君とB君を比べると、B君は距離が短いのにかかった時間は同
じです。だから、A君の方が速い」。見事なものだ。
 しかし、指導者はそのままでは引き下がらない。「それでいいの? 
それでわかるの? B君とC君は?比べなくていいの? 距離と時間が違
うけど」、と揺さぶりをかける。
「ならすといい」と、ある子。「ならすって?」と指導者。説明に窮し
て「バトンタッチ、コウタロウ、よろしく」と助けを求む。コウタロウ
君、指名されたので説明に挑戦する。「1秒当たりの距離、1メートル
当たり時間を計算して比べればいい。単位量当たりの大きさがわかる。
計算は、時間÷距離、距離÷時間で求められる。」と、見事な答え。
 みなシーンとなった。さあて、みんながついていけてないのか、説明
があまりにも見事すぎて子供たちのレベルにあっていなかったからか。
それとも、みんな納得!だったからなのか。
 指導者は、ここで「ならすは平均点を出して比べること、でこぼこを
ならす、距離や時間をならす、この問題では1秒当たりの平均を出して、
あるいは、1メートル当たりの平均点を出してということになるから、
同じ考えであるといえます。」とまとめた。
 では、「この問題を1メートル当たりにかかった時間を求めて、比較
しましょう」と指導者が促す。子供たちはさっと計算し、「ファイナル
アンサー」を「A君」と決定した。
 指導者が「次は、1秒当たりで進む距離を求めて比べてみよう」と予
告して授業終了。
 一対多の、対話応答型の見事な授業。