学校日記

授業寸景 No14

公開日
2010/06/30
更新日
2010/06/30

校長より

授業寸景 No14

                  某月某日 第4校時 理科
 
「こん虫の体のつくりをしらべよう」
 プリント(とんぼの全体図)配布。「こん虫の体」(板書)。
 黒板には、トンボ、モンシロチョウ、ショウリョウバッタの全体
図。指導者の手描きにしてはうまい。
「頭−ピンク、胸−黄、はらー青」と板書指示。
 それぞれの部位を指定された色で塗る作業をさせて、こん虫の体
のつくりについての意識と理解を深めさせる。
 一通り出来たところで、指導者は「こん虫の体をしらべよう」と
いうプリントを配布、ノートに貼り付けさせた。
「トンボのアタマ」「モンシロチョウ」「シオカラトンボ」「ショ
ウリョウバッタ」のそれぞれの絵が描かれている。子供たちのノー
トー観察記録など—は、色鉛筆を使ってきれいに仕上げられている。
ノート指導が行き届いているということである。
 さて、学習内容を整理したところで、これから「こん虫の食べ物
とすみかを考える」。作業に適した体(作業体)をここでまた学習
(思考)体に整える指導者。作業体から学習(思考)体、学習(思
考)体から作業体、この切り替えに指導者というものはよほど気を
遣うものである。
 優れた指導者は、意識の転換を「形から入っていく」ものである。
「形が意識を作り、また、意識が形を作る」ということを熟知して
いるからである。形から入る所以である。
 さて、指導者は問う、「トンボのすみかは?」。子供たちが応え
る、「公園の池、大平公園、原っぱ、森」。指導者はそれらを板書
する。
 次にまた問う、「モンシロチョウは?」。子供たちが応える、「
キャベツ畑、公園の草むら、花畑、花の名前は? 菜の花、ひまわ
り、タンポポ、シロツメクサ」。
 さらに、指導者は問う、「バッタは?」。子供たちが応える、「
公園、草むら、原っぱ、野原、柏木の森、芝生」。
 ここで、指導者は「バッタは、何を食べているの?」と訊いた。
子供たちは応える、「葉っぱ、包丁葉っぱ、草(花)の茎」。「じ
ゃあ、モンシロチョウは?」。「花の蜜、葉」。
「チョウの口はどんな形?」。「蝶はストロー、バッタはギザギザ」。
指導者は、子供たちに思いつくまま応えさせて、「口の形は食べ物
に関係あるんだよね」とさり気なく「体とすみかと食べ物と口の関
係」に「気づかせ」、経験・知識を関連のうちに再整理させる。
 この「気づかせ」はこの指導者の真骨頂である。子供たちとやり
取りしながら、要所で問い直し、切り返し、大事なことを「気づか
せていく」のである。
 このようにして一通り、学習内容についてのやり取りが終わった
ところで教科書に戻り、教科書についているシール(アブラゼミ、
花アブ、バッタ)を教科書の絵図の中に貼り付けて、本時間の授業
は終了した。
 この指導者と子供たちのやり取りが素晴らしいだけに、子供たち
同士による討論(やりりとり)型授業が是非、見たいものである。
 さぞかし見事な討論の授業になると思われる。