授業寸景 NO9
- 公開日
- 2010/06/28
- 更新日
- 2010/06/28
校長より
授業寸景
某月某日 第4校時 学級会
「日光」に向けての班作りである。生活班と行動班を作る学級会、
さぞかし楽しかろうな。
班長、ハイキング、バスレク(行き)(帰り)、資料・保健のそ
れぞれを希望と話し合いによって決定するのである。指導者がそれ
ぞれの担当の仕事内容を説明する。この説明の仕方がいい。簡潔、
明瞭、明確、怜悧。高学年6年生に適応した説明であった。
このクラスもまた、学習環境が良く整っている。学習物・掲示物
が良く整理整頓されていて心地よく、子供たちの活動の様子がとて
も良くわかるのだ。
このような学習環境が5感覚を通じて子供たちのココロとアタマ
とカラダに反映されて積み重ねられ、生活者としての意識・認識と
いうものがつくられていくのであって、だからこそ、子供を育てる
のには、環境が大事だと昔からいわれてきたのである。迷信でも妄
言でもなく、科学的根拠がちゃんとそこにある。
さて、学級会は、司会進行役の男の子と女の子によって、淡々と
進められていく。希望者は?さっと手が挙がる。子供たちがいかに
この学級会に期待しているか、見ていてよく伝わってくる。指導者
は時折、司会進行役の耳元でアドバイスをし、進行が滞らないよう
に気を配っている。
学級会の司会進行などにおいても身につけるべき基礎・基本の形
はある。指導者は、それを身につけさせる過程(伝える過程、1学
期)をしっかりと踏んで、次に、徐々にその身につけた形(力、技)
を自覚的に発揮させ(わかる過程、2学期)、そして、やがては、
子供たちだけで学級会が出来る(きたえあう過程、3学期)ように
させていかなければならない。
「指導は常に過程的でなければならない」、改めていうまでもない
ことだろう。
学級会の仕方(司会進行、意見発表、討議、採決)を身につけさ
せることは、子供たちのコミュニケーション能力を高めるために極
めて重要な学習活動でもある。
さて、希望を優先すると定員をオーバーする「係り」が当然に出
てくる。そのとき、どうするか。ここである、大事なところは。子
供たちの心(やる気、意欲、希望)を受け止めながら、その妥協点
を探るのは、思うほど易しいことではない。
場の雰囲気を見ながら、指導者は司会進行役に的確なアドバイス
をしていく。子供たちの動く様子から、学級のまとまっていること
が良くわかる。紛糾するでもなく、司会進行役に従いながら話し合
い、話し合いがつかないときは伝家の宝刀「ジャンケン」で決めて
いく。負けても勝っても、「シャンケン」は公正・公平だね。だか
らして、最後まで子供たちは楽しそうであった。
さて、話し合いとジャンケンで決着がついたようである。司会進
行役が集合整列を指示する。子供たちはその指示に従って静かに整
列する。ともすれば大騒ぎになる楽しみな日光移動教室に向けての
「係り決め」であるが、楽しそうでありながら十分に落ち着いた雰
囲気の中で班決め係り決めが進んでいく。要所要所で指導者が司会
進行役にアドバイス、時折全体に注意や指導を行う、これが、適切
でよかったということである。
司会進行役が、全体の意見を挙手によって確認するとき、手を挙
げて意思表示しなかった子供がいた。司会進行役がその子に対して、
直接指名し再度意見を求めたのは、学級会では傍観者を認めないと
いう姿勢がありありと感じられて、実に素晴らしい。