学校日記

授業寸景 NO10

公開日
2010/06/28
更新日
2010/06/28

校長より

授業寸景

                  某月某日 第1校時 社会 
 黒板に向かってUの字の座席配置。起立して「おはようございます」。
 何事も挨拶から始まり、挨拶で終わるのが習い。日直が前に出て、
朝の会の司会をする。
「今日の生活のめあて」を確認し、「先生の話」へと進める。指導者
は、子供たちの健康観察の後、今日の予定を連絡する。
 このとき、ある子が「校長先生がなぜおらっしゃるのですか?」と
指導者に聞いた。「おらっしゃるというよりも、いらっしゃる、です
ね。みんなの勉強の様子を見に来たのです。」と笑いながら応えてく
れた。(おらっしゃる、これは私への敬老精神から出た言葉かな。)
 本時は社会。はじめに学習(係)長がノート(学習済みのプリント
が貼り付けられている)を配る。学習準備がすばやく行われ、学習習
慣の身についていることが良くわかる。
「カツオの一本釣り」(資料)から本時のめあて「遠洋漁業について
知ろう」を板書し、指導者が問う。「遠洋」の「遠」はどういう意味
か。子供たちが応じる。「遠い」。では、「遠洋」の「洋」とはどん
なときに使うか。子供たちが応える。「太平洋」「大西洋」「インド
洋」。
 そう、「洋」には「広い」という意味があると指導者が補足する。
これで、説明しなくても遠洋漁業とは「遠くて広い(洋)海で漁業を
することであるということがわかった。
 では、なぜ遠くに行って魚を獲るのか。それについて指導者は子供
たちに考えさせる。
「・遠い海には栄養があり、魚が集まってくる。・日本の海にはいな
い魚がいる。・大きいカツオとか。なぜ? いつも獲ってると大きく
なる時間がない。・珍しい魚がいる。・近い海ばかりで漁をしている
と魚がいなくなる。・広いと大きな船で漁ができる。・広い海だと漁
がしやすい。・近い海はごつごつ岩が多いが、広い海だとそれがない」
などと、子供たちが次々に答える。
 指導者は、それらを手際よく板書に整理していく。
 指導者の作った学習プリントを活用しながら、さらに遠洋漁業につ
いて考える。「回遊魚を追っていく」という呟きが子供たちから出た。
カツオ以外にはどんな魚を?と、指導者。「マグロ。」と子供たち。
 この指導者の作るプリントは内容が充実していて、それをまた授業
で十分に活用している。子供たちのノートも色鉛筆などをうまく使い、
きれいにまとめられている。ノート指導が行き届いているのである。
また、このクラスの子供たちは良く呟く。この呟きを指導者はうまく
拾い、授業に繋げていく。呟きあいがいつの間にか討論になっている、
そんな感じである。6年の某教諭(授業の名手)の授業をふっと思い
出したものである。
 感心していたら、指導者はここで模造紙を幾重にも畳んだマグロの
絵を取り出して(頭の先を少し見せて全体は隠して)、はい、では、
実際のマグロはどれくらいの大きさかな?と子供たちに問うた。
 350メートル、(それはないだろ)。3メートル、2メートル、
1,5メートル、など口々に子供たちは答える。そこで、指導者は
折りたたんだ模造紙をゆっくりと開いていく。でかい! 先生と同
じくらい? いやもっと大きいと子供たち。このマグロはほぼ全長
2,5メートル、実物大です。
 子供たちをぎょ(魚)っとさせた後、新しいプリントを配布、記
入作業を指示。世界の海でのマグロの漁場を青で塗る、気づいたこ
とを書く、発表する。「遠い、大きい、多い、広い」と、指導者の
狙い通りの言葉が出た。お見事。
 そうして、次時の予告をして、授業終了。