一昨日の土曜授業の中で、青少対主催の講演会を聞くことができました。 元・八王子医療刑務所の教育専門官をされていた中村弘二さんのお話しをうかがって、皆さんはどんなことを感じたでしょうか。
これから長い人生を歩いていく皆さんにとって、演題にもあった 「 後悔しない人生 」 を送るうえで参考になることが、たくさんあったことと思います。
ただひとつ、中村さんのお話しの中で気になることがあったので、それについてお話しさせてください。
講演の中で中村さんは、こんなことをおっしゃっていました。
「 世の中には、『 いてほしい人 』 と、『 いてもいなくてもいい人 』、『 いないほうがいい人 』 の3種類の人がいる。 このうち、『 いてもいなくてもいい人 』 が一番多い。」
もしかしたら、皆さんの中にこの部分を聞いて、「 朝礼で校長先生の話したことと違う 」 と思った人はいないでしょうか?
そう思った人、手を挙げてください。
確かに先週の朝礼で私は、「 すべての命は、ちゃんとした理由があってこの世に誕生してきた 」 と話しました。 そして、「 生きるということは、自分が生まれてきた理由を知るための 『 旅 』 のようなものである 」 とも言いました。
ですから、この世に 「 いてもいなくてもいい人 」 などいないし、まして 「 いないほうがいい人 」 などなおさらだと思います。 誰もがみんな、この世に存在する意義なり、価値なりを持って生まれてきたのです。
この考えは、たとえ中村さんに 「 校長の考えは間違っている 」 と反論されても、変えるつもりはありません。
でも、安心してください。
中村さんが言いたかったことは、決して私と正反対のことではないのです。
それどころか、むしろ皆さんに伝えたかったことは、私と同じなのです。
話をわかりやすくするために極端な言い方をされたので、誤解をされたかもしれませんが、中村さんの言いたかったことは 「 どうせ生きるのなら、人から 『 あなたがいてくれて良かった 』 『 あなたに、いてほしい 』 と言ってもらえるような生き方をしなさい 」 ということなのです。
これは、私も全く同感です。
繰り返しますが、人は誰しも、生まれてきた理由があります。
その理由を見つけるために、私たちは時間をかけて人生を旅しているのです。
そして、いつかその理由を探し当てたとき、「 一人でも多くの人を幸せにするために生まれてきた 」 「 一人でも多くの人の役に立つために生まれてきた 」 と言えるような人生だったら、素晴らしいことだと思います。
講演会後、皆さんに書いてもらった感想文をいくつか読ませてもらいました。
その中に、こんな内容のことを書いていた人がいました。
「 『 いないほうがいい人 』 なんて、いないと思う。 どんな悪い人にだって、何かしら良い所はあると思う 」
私は、それを読んでとても嬉しく思いました。 こういう感想を書いてくれたあなたは、私の話をちゃんと心に留めて、つま先を前に向けてくれている人です。
皆さんが生まれてきた理由は、必ずあります。
その理由を見つけるまで、つま先を前に向けて歩いていきましょう。