校長雑感(日本語検定)
- 公開日
- 2009/02/19
- 更新日
- 2009/02/19
校長より
2月19日(木)
本日、日本語検定委員会の方がお見えになり、お話をする時間がありました。
日本語検定とは、言葉の意味や漢字、文法、敬語、表記の仕方など幅広く検定して、正しい日本語を身につけようとするものです。
英検や漢検に比べるとまだ知名度は低いのですが、今年度の受検者数は約9万5000人と昨年度に比べて倍増、近いうちに文部科学省の認可も得られる見通しだそうです。
文部科学省と言えば、平成24年度に完全実施される新学習指導要領で「すべての教科で言語活動を充実させること」が明記されています。 これは、若者の「言葉の乱れ」が指摘されて久しいことに加え、各種学力調査等で「読解力・表現力の低下」がデータとして示されたことによるものと思われます。
本校でも昨年、新学習指導要領への対応について校内研修を行った際、この「言語活動の充実」についても全教員が確認したところです。 これを機に、英検や漢検同様、日本語検定も推奨したいと考えています。
ところで私は、最近の子どもたちには、耳から入った言葉をそのまま使ってしまう傾向があると思っています。 そのため、相手の言い間違いや自分の聞き間違いがあっても、そのまま変な日本語として使ってしまうことがあります。
つまり、その言葉が日本語として正しいか、どういう意味なのかを考えることよりも、自分の耳にどう聞こえたかを優先してしまうのです。 そして、この傾向の重大な罪(?)は、間違いが微妙であるだけに、いつまでもそれと気づかず変な日本語を使い続けてしまうところにあります。
以下は、かつて私が行った作文指導で見た「聞き間違いによる変な日本語」の一例です。
1 授業の始まるときに日直が「今日つけ」と号令をかけました。
2 僕たちは、準備満タンととのえて出発した。
3 あたたかい風呂に入って、気持ちかった。
4 教室には、いやなふいん気が漂っていました。
5 お母さんから「自分で布団を引きなさい」と言われました。
6 私は朝、とても目覚めが悪いです。
7 付け刃(つけやいば)の勉強では通用しないことがわかった。
8 他人に責任転換してはいけないと思いました。
9 今日は一日中、暇に任せて音楽を聴いていた。
10 彼の質問は、ちゃんと的を得た質問だと思いました。
さて、上記の間違いを指摘し、訂正できますか? 4ぐらいまでは笑って訂正できても、そのうち何が間違っているのか指摘すらできないものもあったのでは?
では、正解です。「×」→「○」
1「今日つけ(きょうつけ)」→「気をつけ(きをつけ)」
2「準備満タン(まんたん)」→「準備万端(ばんたん)」
3「気持ちかった」→「気持ちよかった」
4「ふいん気」→「雰囲気(ふんいき)」
5「引きなさい(ひきなさい)」→「敷きなさい(しきなさい)」
6「目覚め(めざめ)」→「寝覚め(ねざめ)」
7「付け刃(つけやいば)」→「付け焼き刃(つけやきば)」
8「責任転換(せきにんてんかん)」→「責任転嫁(せきにんてんか)」
9「暇に任せて(ひまにまかせて)」→「暇に飽かせて(ひまにあかせて)」
10「的を得た(まとをえた)」→「的を射た(まとをいた)」
どうでしたか? もしかしたら、知らないうちに使っていた「変な日本語」もあったのでは? そういう人は、ぜひ日本語検定の受検も考えてみてください。
※ ちなみに、私が今まで目にした「聞き間違えによる変な日本語」を使った生徒作文で、最も印象に残っている(『これって、わかる!』と思った)ものは、次の一文です。
「今日のお弁当は、丸の内弁当でした。」
校長 武田幸雄