( 写真は、左から 1学年 → 2学年 → 3学年 の学年保護者会の様子です )
1学期を振り返っての生徒の様子は、この後の学年・学級懇談会でそれぞれの担当の者がお話しさせていただきますので、私からは、夏休みを前に全学年の保護者の方にお願いしておきたいことだけをお話しさせていただきます。
私が夏休み前に保護者の皆様にお願いしていることは、毎年ただ一つです。
それは、お子さんと 「 よい加減 」 のかかわり方をしていただきたい、ということです。
「 いい加減 」 という言葉には、両極端な二つの意味があります。
辞書にはたいてい、良い意味の方が先に出ています。 「 過不足なく、ちょうどよい程度 」 といった意味です。
それに対して悪い方の意味は、「 中途半端 ・ 無責任 ・ いきあたりばったり 」 といった意味です。 どちらかといえば、私たちは日常こちらの意味で使うことの方が多いかもしれません。
この両者は、アクセントの置き方で使い分けることができますが、ここでは良い意味で使う場合を 「 よい加減 」、悪い意味で使う場合を 「 いー加減 」 と言わせてもらいます。
親の子どもへのかかわり方のうち、「 いー加減 」 なかかわり方の極端な例を挙げてみます。
まず一つは、自主性とか主体性といったきれいな言葉をはき違えて、何でも子どものやりたいようにやらせてしまうかかわり方です。
また、もう中学生になって親の言うことをきかなくなったから放っておく、などというかかわり方です。 こうしたかかわり方を簡単に言うと、「 放任 」 「 指導放棄 」 という言葉が当てはまります。
もう一つは、それとは対照的に、子どものすべてを管理・監督していなければ気が済まない、子どもを親の言いなりにしようとするかかわり方です。
こちらのかかわり方は簡単に言うと、「 過保護 」 「 過干渉 」 といった言葉が当てはまります。
いずれにせよ、どちらも 「 いー加減 」 なかかわり方です。
では、そのどちらでもない、「 よい加減 」 のかかわり方とは、どんなかかわり方なのでしょうか。
私はそれを説明するのに、わかりやすく時間にたとえることにしています。
最初に述べた放任・指導放棄の 「 いー加減 」 なかかわり方は、全く子どもにかかわろうとしない、つまり、24時間中0時間のかかわり方です。
次に述べた過保護・過干渉の 「 いー加減 」 なかかわり方は、逆に四六時中子どもを自分の管理下に置こうとする、つまり、24時間中24時間のかかわり方です。
では、何かと忙しい親御さんにとって、日頃わが子と何時間ぐらいかかわるのが 「 よい加減 」 なのでしょうか。
思春期の子どもに対し、毎日仕事で忙しい親御さんがかかわる時間は、24時間中1時間ぐらいが 「 よい加減 」 なのではないかと思います。
1時間というと、「 えっ、その程度でいいの? 」 「 ちょっと少ないんじゃない? 」 と思われるかもしれません。 しかし、この1時間には、ただ単に同じ空間に一緒にいただけといった時間は含んではいけないのです。
例えば、2〜3時間リビングに一緒にいたけれど、親はテレビに夢中で子どもは携帯メールに夢中だった… という時間は、カウントしてはいけないのです。 また、同じようにリビングに一緒にいたけれど、子どもがゲームに夢中になっている傍らで、親はビールを飲んで酔っぱらって寝ていた… という時間もカウントしてはいけません。
お互いに共通の話題で会話をしたり、共通の趣味のことをやったり、親子一緒に家事をやってみたり、時には一緒に勉強したり… そういう時間でなければならないのです。
親には仕事がある一方で、子どもにも習い事や塾があり、時には一人になりたいこともある… と、さまざまな事情のある中で何とか工夫してそういう時間をつくり出し、一日のトータルで1時間にしてほしいのです。
だからといって、「 校長がそういう時間をつくれと言っていたから、今から1時間会話するぞ。」 と言ったって、子どもが従うわけありません。
そこで、「 よい加減 」 の1時間をつくり出すヒントが本日配布したプリントに記載されていますので、ご覧ください。
プリントの項目2に 「 基本的な生活習慣を身につけさせてください 」 とあります。 ここでは、食事・睡眠・帰宅時間の管理については、ご家庭で責任をもってしっかりやっていただきたいとお願いしています。
そのうち 「 食事の管理 」 とは、成長期の中学生にふさわしい内容・量の食事を、朝・昼・晩・それぞれにふさわしい時間帯にとらせるということです。
「 睡眠の管理 」 とは、多すぎず少なすぎず、中学生にとって適切な睡眠を、これもまた中学生にふさわしい就寝時間と起床時間との間でとらせるということです。 朝は、遅くとも7時には必ず起こすようにしてください。 そこを起点に逆算すれば、自ずと就寝時間も決まってくるはずです。
「 帰宅時間の管理 」 とは、そうした適切な食事や、適切な睡眠を可能にするためには、当然守らせなければならない帰宅時間があるということです。
保護者の皆様もお忙しいことかと思いますが、毎日の暮らしの中でこの3つのポイントだけはしっかり押さえよう、きちんと管理しようと心がけてくだされば、その過程で 「 よい加減 」 のかかわり方をした時間は最低でも1時間ぐらいになるはずなのです。
夏休みは、長期間お子さんをご家庭に帰すことになります。
ぜひ 「 よい加減 」 のかかわり方をして、「 よい加減 」 の親子の時間をつくり、「 よい加減 」 の親子関係を築いてくださいますようお願いいたします。
2学期の始業式には、そうした 「 よい加減 」 の親子のかかわりを通して、一回りも二回りも成長したお子さんの姿に会えることを楽しみにしております。
最後になりますが、新型インフルエンザが再び流行する兆しを見せております。 夏休み中も、今までと変わらぬ健康観察と予防対策をお願い申し上げます。 万が一、感染したしまった場合は、必ず学校にもご一報ください。
校長 武田幸雄