学校日記

2月9日(月)朝礼講話

公開日
2009/02/09
更新日
2009/02/09

校長より

 さる1月20日、アメリカ合衆国第44代大統領に、バラク・オバマ氏が就任しました。

 オバマ大統領は、選挙期間中は「change」(変革)や「Yes,we can!」(われわれにはできる!)というフレーズを多用して大衆の心をとらえました。 1月20日の就任式では、そのオバマ大統領が何を語るのか、世界中が注目していました。

 聴いた人もいるかもしれませんが、その就任演説は選挙演説とは打って変わって、物静かな印象を受けました。 選挙演説との比較をたとえていうならば、動から静へ、情熱から冷静へ、熱く訴えかける口調から淡々と語りかける口調へ、といった感じでした。 使われた言葉も「change」や「Yes,we can!」ではなく、「responsibility」(責任)という言葉が多用されていたように思います。

 一国の大統領になった以上、威勢のいい言葉で大衆を鼓舞するだけでなく、直面している困難な課題にふれ、それらを解決するために果たさなければならない責任について誠実に語った演説として、選挙演説とは違った意味で印象深く感じられました。

 しかし、一連のオバマ大統領の演説の中で、私が最も印象に残っているのは、それら就任演説でも選挙演説でもありません。 オバマ氏がヒラリー・クリントン氏との壮絶な選挙戦に勝ったときに行った勝利演説です。 その一節を紹介します。

「世界を破壊しようとする者は打ち倒し、平和と安全を求める者は支えよう。 アメリカの真の強さは、武力や経済力ではなく、理想を実現する力、つまり民主主義と自由、機会、決して朽ちることのない希望にある。」

 私はこの演説を聴いたとき、これはアメリカだけでなく、一人の人間、あるいはその人間が集まって作られる集団に共通して言えることではないかと思いました。

 オバマ氏は、アメリカの真の強さとは理想を実現する力のことだとした上で、その具体例を4つあげていました。 今「アメリカ」を「人間」とか「別所中学校」に置き換えて考えてみてください。

 民主主義 … 集団の一員である皆さんが物事を決めるときに、腕力やお金に頼ってはいけません。一人ひとりが自分の意志や考えをしっかり持ち、それを持ち寄って集団としてより良い方向に向かう方策を話し合わなければならないのです。

 自由 … ただし自由とは、集団のルールを無視した自分勝手やわがままのことではありません。 他者からの不当な支配を受けることなく、自分で善悪を判断し、自分の良心に従って行動することが大切です。

 機会(チャンス)… 勉強したいと思ったら、部活動に打ち込みたいと思ったら、委員会活動や行事に熱中したいと思ったら、そのチャンスが平等に与えられる学校でなければなりません。

 朽ちることのない希望 … 一度や二度の失敗が許される学校、たとえ失敗しても本人が反省してその気になれば、やり直しのできる学校でなければなりません。

 オバマ大統領の言葉を借りるならば、まずは一人ひとりがそういう真の強さを理解し身につけてください。 そして、いつかそれらが集まって、別所中の理想を実現する力、別所中の真の強さにつながっていくことを願っています。

                               校長 武田幸雄