児童朝会6
- 公開日
- 2018/12/16
- 更新日
- 2018/12/16
今日の出来事
12月10日(月)
<あのひとことで>
地震の後、外での運動を禁止されていたぼくたちは、しばらく休みだったサッカーの練習 が始まると聞いて、とびあがってよろこんだ。久しぶりに会う友達とのあいさつもそこそこに、ボール をけり始めた。
久しぶりの校庭で、ぼくたちはむ中になってボールをけった。「やっぱり、外で運動できるのは楽しいし、気持ちいい。」そう思いながら練習をしているうちに、コーチから集合の声がかかった。 コーチは、3週間後に、となりの県のチームとの練習試合が決まったことをぼくたちに伝え、「はりきりすぎて、けがをしないように」と、話をしめくくった。
練習からの帰り、ぼくたちは練習試合の話でもりあがった。地震いらい、外での運動が制限され、家族もいそがしくて、なかなか遠出することもなかったからだ。その日から、練習 しゅう試合の日が来ることが、とても楽しみで、これまで以上に練習に力が入った。みんな、久しぶりの試合に勝ちたいという気持ちでいっぱいだった。
3週間後、ぼくたちはバスに乗って試合会場に向かった。グラウンドで、すでに練 れん習 しゅうを始 はじめて いるチームもいて、さっそくアップとドリブル練習を始めた時 ときだった。友達のパスが大きくそれ、相手チームの方に転がって行ってしまった。ぼくは「すみません!」と、大きな声を出しながら、ボー ルの方へ走って行った。転がっていったボールは、相手チームの一人にあたり、もう一度「すみませんでした。」といってボールを拾おうとした。その時「お前たち、福島だろ。放射能がうつるからさわんなよ。」とつぶやいたのが聞こえた。
ぼくは、頭の中が真っ白になって、自分たちのベンチにもどった。それまでのうきうきした気持ちは消え、試合に勝っても気持ちは晴れないままだった。
(出典) 『小学生のための放射能副読本』(15ページ)より
文部科学省道徳教育アーカイブ