授業寸景
- 公開日
- 2010/06/23
- 更新日
- 2010/06/23
校長より
授業寸景
某月某日 第2校時 国語
まずは、算数のプリントの答えあわせから。
前に出た子供が二人、声を合わせて答えを読み上げている。
「正解」なら自分で赤丸をつけるのだ。机の上に答え合わせの
プリントを用意していない子が6名、どうしたのかな。忘れた
のかしら、やる気が無いのかしら、あるいはその他の理由があ
るのかしら。が、クラス全体の様子は、とても落ち着いている。
「プリント、集めてください。国語の用意をしてください」と
指導者。指示に従って子供たちが動く。
「18ページ開いてください。音読の用意をします。」、これ
で、一瞬ざわっとした教室の雰囲気が、再び落ち着いた。指導
の難しい子供たちなのにねえ、なかなかいい反応だ。
「班で音読します。」、「読むときはどうするの?」とここで
あらためて姿勢を正させる。
「消しゴム ころりん」を座ったまま班音読。
思うにここは、班音読をさせる前に全員で一斉音読させたほ
うが、子供たちの「気持ちも体も声も引き締まる」だろうに、
と思う。
一斉音読(全)から班音読(個)へ、そして、班音読(個)
から一斉音読(全)へ、この過程的音読(全—個「班」—全)
は、音読指導の基本技の一つである。
また、この頃の授業では座ったまま子供に発言させたり、座
ったまま音読させたりすることが多いように見受けられるが、
「立って発言する、立って音読する」、この「発言(表)」形
態のよさ・意義について再評価してみたい気がする。私は、す
くっと「立って発言させる」を学習指導形態の基本の一つとし
ているのだが。本時間では、子供たちは一度も立って発言しな
かった。すくっと立つだけの筋力・気力を育てたいものだ。
「さおりのせいかく、わかること」 (板書)
指導者は、即妙に子供たちの呟きを拾い上げて発表させてい
く、発表内容に呼応しつつ、それを順次板書していくのである。
子供の発言は必ずその場で評価し、共感し、そして板書で記
す。いうまでも無いがこれはとても大事なことである。子供は
やがて指導者のこの応答・対応次第で、次から意欲的に発言し
たり、しなかったりするようになるのだから。この指導者と子
供たちのやり取りは、とてもいい感じである。
「今日は、『ゆきひろのせいかくについて』考えます」。そし
て、指導者は用意をしたプリントを配布する。「名前を書いて」。
「いわれなくても名前を書いている人がいます。いいですね」。
この、褒めことばが子供たちへの有効な指示になる。指導者は
ここを心得ているようで、だから、時折、このような褒めこと
ばが指導者から発せられる。
プリントの1「ゆきひろのせいかく、ようすについて」に書
き込んだ「こと」を発表させる。「良く見る。・見ていないフ
リをする。・作文を書くのがおそい。・一人でわらう。・気が
ついてもいわない。・直ぐうそをつく。・はっきりいわない。」
など、子供たちは、自分の日ごろの経験に照らし合わせるかの
ようにして次々と発表する。
このあたり、聞いていてとても楽しかった。その後、「ゆき
ひろ」の登場シーンを一斉音読。
そして、次にプリント2。あいにく途中で終わりのチャイム
が鳴ってしまった。プリント2については次の時間に持ち越し
となった。
本時間の授業で、子供たちの発言(表)内容の「全体検討」
がなかったのは、少し残念である。「せいかくとようす」、ど
の発言が「せいかく」を表し、「様子」を表しているのか、指
導者は問い返し、子供たちの頭をさらに働かせるようにして欲
しかったな。