2月22日土曜日読売新聞編集手帳から
- 公開日
- 2014/02/22
- 更新日
- 2014/02/22
できごと
いろいろなコメントが浅田真央選手に寄せられていて、どれを読んでも涙がでてくるのはわたしだけではないはず。今日はその紹介です。
写真(Yahoo (撮影・大里直也)(写真:サンケイスポーツ)を掲載させていただきました。
2月22日(土)読売新聞 編集手帳から
「心が凋む(しぼむ)」の凋。
「凛(りん)として」の凜。
意味するところは正反対だが、部首は同じである。漢和辞典によれば“にすい”は氷を透かして見える節目のことだという。
凋んだ心のまま、おざなりに流すのか。
それとも凜として舞うのか。
さあどっちだと、氷の神様もなかなか意地が悪い。その意地悪な問いに、完全燃焼することで答えた。ソチ冬季五輪のフィギュアスケート女子フリー、浅田真央選手(23)である。
前日のショートプログラムに失敗し、メダルの望みが絶たれたなかで、ほぼ完ぺきな演技を見せて観衆を魅了した。フリーでの自己最高得点を更新している。
勝つために全力を尽くすのは、実はやさしい。負けと決まった後に、全身全霊を込めるのは誰にでもできることではない。その強い心にテレビの前で、“にすい”の言葉をもう一つ、「凄い(すごい)」とうなった方も多かろう。
思い出す五行歌がある。
いっそ
大きく凹(へこ)もう
いつか
多くを満たす
器になるのだ
<伊藤柚月>