( 上の写真は、いずれも始業式での校歌合唱の様子です )
あけましておめでとうございます。
新しい年を迎え、学校も3学期が始まりました。
皆さんは、どんな冬休み、そして、お正月を過ごしましたか。
1月3日の学校HPの記事にも書いたのですが、私は毎年お正月に行われる箱根駅伝をとても楽しみに見ています。
皆さんの中にも、テレビ観戦した人がいるのではないでしょうか。
「 駅伝 」 とは、バトンのかわりに襷 ( たすき ) を使った長距離のリレーのようなものです。 箱根駅伝の場合、東京・箱根間の約220kmを10区間に区切り、1チーム10人の選手でリレーします。
同じ陸上の長距離種目でも、マラソンが 「 走る 」 種目であるのに対し、この駅伝は 「 つなぐ 」 種目と言われます。
それは、駅伝では 「 速く走る 」 とか 「 他のチームに勝つ 」 などといったことと同等か、もしくはそれ以上に 「 最後まで襷を途切れさせることなく、ゴールまで辿り着く 」 ということを重要視しているからです。
昨年の箱根駅伝で、城西大学で8区を走った 石田 亮 という選手がいました。
石田選手は走っている途中で低血糖状態に陥ってふらふらになり、最後は意識もうろうとなって途中棄権してしまい、次の選手に母校の襷をつなぐことができませんでした。
救護室に担ぎ込まれていく石田選手は、泣きながら 「 すみません 」 「 すみません 」 と、うわごとのようにただその一言だけを繰り返していました。
今年、その石田選手は7区を区間第2位の好成績で走り抜き、立派に襷を次の選手につなぐことができました。
そのときカメラは、チームメイトに向かって 「 ありがとう 」 「 ありがとう 」 と、ただその言葉を繰り返す石田選手を写していました。
昨年はひたすら 「 すみません 」 のひと言を繰り返していた選手が、そのちょうど1年後に、今度は 「 ありがとう 」 のひと言を繰り返している様子は、とても印象的でした。
実は、私もあとで知ったことなのですが、昨年の箱根駅伝のあと、石田選手は途中棄権の責任と後悔の念に堪えきれず、一時は陸上競技をやめようと考えたり、生活態度も乱れたりしてしまったのだそうです。
しかし、自分を責めるどころか、逆に励ましてくれる監督や先輩たちのためにも 「 自分が変わらなければいけない 」 と思い、その後は人一倍猛練習に励んだのだそうです。
8月の夏合宿では、なんと1100kmも走り込んだと聞きました。
1日平均で50kmぐらい走った計算になります。
その結果が、今年の好成績と、あの 「 ありがとう 」 に表れていたのだと気づいたとき、私の駅伝を見る見方が、それまでと少しだけ変わりました。
1月3日の学校HPに、私は 「 駅伝の選手は自分の背負う襷に、『 自分以外の誰かのために 』 という思いを込めている 」 といったことを書きました。
しかし、「 自分以外の誰かのために 」 という思いを背負って走る駅伝は、同時に 「 自分以外の誰か 」 に支えられながら走る競技でもあったのです。
さて、その駅伝にたとえるならば、平成21年度という長い区間もいよいよ終盤にさしかかってきました。
この3学期は、創立20周年記念の式典や合唱コンクールが行われます。
1年生はスキー教室、3年生はいよいよ高校受験を控えています。
また、2年生も、最終学年に向けての取り組みが本格的に始まります。
それぞれの学年に、クリアしなければならないハードルがあります。
どうか、自分を陰に日向に支えてくれている人への感謝を忘れず、同時に 「 自分以外の誰かのために 」 という意識も持ちながら、それぞれの活動に取り組んでください。
それができたとき、次の学年、新しい学年の自分に、よい形で襷をつなぐことができると思います。
3学期も、お互いに頑張りましょう。