杏(あんず)の花
- 公開日
- 2009/03/04
- 更新日
- 2009/03/04
校長より
3月4日(水)
昨日は「桃の節句」でしたが、夕方からあいにくの雪となってしまいました。
なんでも雛祭りの日に雪が降るのは、25年ぶりだったとか。
学校の体育館脇では、そんな寒さに負けないで「桃」ならぬ「杏」の花が満開です。
今朝見に行ってみると、昨晩の残雪が地面を覆っていたこともあり、満開の花をつけた杏の木は、遠目に見ると枝々に雪をまとっているかのようでした。
(写真 上・中)
詩人・小説家の室生犀星(むろうさいせい)の詩集『抒情小曲集』に、『小景異情』という詩が収められています。 この詩は、「ふるさとは遠きにありて思ふもの」で始まる《その二》があまりにも有名ですが、《その六》では次のように「杏」を詠んでいます。
あんずよ
花着(つ)け
地ぞ早やに輝け
あんずよ花着け
あんずよ燃え
ああ あんずよ花着け
室生犀星は、寒さ厳しい雪国(金沢)に生まれ育ち、かの地をこよなく愛しました。 この詩には、そんな雪国に暮らす人々の、春を待ち望む思いが込められているかのようです。
同時に私には、今は逆境にある人、挫折している人、あるいは、まだ可能性を眠らせている若者たちへの激励の思いも込められているように感じられます。
そんなことを思いながら写真を撮っていると、体育館の中では2年生の選択体育の授業が始まっていました。(写真 下)
寒さに負けず一生懸命花を咲かせている杏の木と、こちらも寒さに負けず元気に体を動かしている生徒の姿と、体育館の外と中だけは春の訪れを感じさせてくれました。
校長 武田幸雄