8月15日(土)
今日は、64回目の終戦記念日(終戦の日)です。
では、そもそも終戦記念日とは、いったい何を意味する日なのでしょうか。 皆さんは、どう答えますか?
「 日本が戦争をやめた日 ( 戦争に負けた日 )」
「 それによって、太平洋戦争が終わった日 」
64年前の今日、天皇みずからの声で、戦争を終えることを国民に伝えるラジオ放送が流されました。 いわゆる、玉音放送 ( ぎょくおんほうそう ) というものです。 これによって、日本は組織的な戦闘行為、抵抗をやめました。 したがって、そういう意味からすれば先の回答はどちらも正解です。
しかし、ただそれだけの意味しか見いだせないとしたら、私たち日本人の認識としてはあまりに浅薄です。
単に 「 戦争が終わった日 」 ということであれば、それは必ずしも8月15日とは限りません。 事実、皆さんが学んでいる歴史の教科書では、「 戦争が終わった日 」 を8月15日としていますが、高校の教科書では9月2日としています。
日本が正式に降伏文書に調印した日 ( ポツダム宣言という、日本に降伏を勧める文書に署名した日 ) が、9月2日だからです。 むしろ、国際的には ( 戦勝国や日本の支配から解放された国では ) こちらを終戦記念日とする傾向が強いようです。
それでも8月15日が私たちにとって特別な日である理由のひとつは、過去の政府が 「 単に戦争が終わった日 」 にとどまらない意義を付け加えてきたからです。 その代表的なものが、1982年の閣議決定 ( 総理大臣を中心とした国務大臣による会議での決定 ) です。 この閣議決定で、「 8月15日を、戦没者を追悼し平和を祈念する日とする 」 ことが定められました。
つまり、この日を、太平洋戦争で亡くなられた方々を追悼するとともに、戦争の悲惨さを忘れず、平和を祈念する日としたのです。
このように、8月15日は、我が国にとっては 「 単に戦争が終わった日 」 ではないのです。 戦争体験のない私たちが、日常的に反戦と平和への強い意志を持って生活することはないでしょう。 だからこそ、「 戦争の忌まわしい記憶をよみがえらせ、それを後世に伝え、永遠の平和を誓う日 」 を設ける必要があるのです。
私は、8月15日とはそういう日だと思っています。
昨日も、ドキュメンタリーやアニメ映画など、戦争に関するテレビ番組が放映されていました。 今日も、戦争や核兵器にまつわる報道特別番組や、映画などが放映されるようです。 毎年、広島に原爆が投下された8月6日から今日に至るまでの10日間を中心に、8月前半は戦争関連のさまざまなテレビ番組が企画されています。
もちろん 「 そのすべてを 」 とは言いませんが、ひとつぐらいは家族一緒に視聴し、共に考える時間があっても良いのではないかと思います。
8月15日は、ちょうどお盆休みで、家族で共有できる時間の取りやすい時期でもあります。 そう考えると、私はやはり終戦記念日は9月2日ではなく、8月15日がふさわしいのではないかと思うのです。
校長 武田幸雄