3年生・社会(公民)の授業の様子です。
本日は、「 戦争を放棄した日本 」 について、学習プリントを使いながら勉強していました。
また、授業の後半では、日本国憲法第九条を暗記して発表する時間もとられました。 みんな一生懸命覚えていましたが、一言一句間違えずに暗唱するとなると、短時間ではなかなか難しいようでした。
授業の中で、今から62年前の昭和22年、当時の文部省より全国の中学1年生に配布された 「 あたらしい憲法のはなし 」 という教材が、参考資料として紹介されました。
この教材は、新しい国家の礎となるべく公布された 「 日本国憲法 」 の理念と概要が、当時の中学1年生にもわかるように綴られています。
その中の 「 戦争の放棄 」 という項目に、次のような表記がありました。
「 これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです。 これを戦力の放棄といいます。 『 放棄 』 とは、『 すててしまうこと 』 です。 しかし皆さんは、けっして心細く思うことはありません。 日本は正しいことを、ほかの国より先に行ったのです。 世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。」
今から62年前、戦争による焦土と絶望の中から立ち上がった若者たちは、この理念を胸に刻んで平和国家を築いてきました。
では、現代の若者たちにとって、この理念はどう受け入れられるのでしょう?
時として「強いことが、正しいもの」になりかねない現代社会を生きる若者…。
62年前に比べて、はるかに複雑化している国際社会を生きる若者…。
彼らの胸に、この理念はすっと落ちるのでしょうか?
担当の川口先生の 「 現在の日本は、平和だなあと思う人は手を挙げて。」 という発問に対し、反応はまばらでした。 戦時中や終戦直後に比べ、平和の概念そのものが変質しているのかもしれません。 それでも私には、この 「 まばらな反応 」 が、何かを象徴しているように思えてなりませんでした。
その後、生徒の様子を写真に収めようとファインダーをのぞいたとき、このクラスのスローガンにある 「 愛 × 勇気 」 という文字が目にとまりました。
そのとき、授業の影響からか 「 揺るぎない平和(愛)」 を維持するためには、それを守りぬこうとする 「 揺るぎない勇気 」 が必要なのかなあ……、
そう考えると、アンパンマンの歌の歌詞は、実は深いのだなあ……、
などと考えてしまいました。
保護者の皆様も、機会があればお子さんと 「 憲法論議 」 をしてみてください。
余談ながら、川口先生が先の発問に続いて、「 じゃあ、別所中は平和だなあと思う人は手を挙げて。」 と尋ねたとき、一斉にほとんどの手が挙がった様子には少しホッとしました。
校長 武田幸雄