こんにちは。昨日に引き続き7月23日(火)に「東京都立多摩桜の丘学園」にて研修会に参加しましたので、紹介します。「東京都立多摩桜の丘学園」は肢体不自由と知的障がいの児童・生徒が学ぶ特別支援学校です。今回の研修は「学級内でつまづきのある児童・生徒への支援」〜AD/HDを中心に〜です。講師は、「NPO法人えじそんくらぶ代表の高山恵子先生」です。高山恵子先生自身もアメリカの大学在学中にLD(学習障害)とADHD(注意欠陥多動性障害)と診断された方です。私も地図の見方が苦手で進行方向に地図を傾けないと全く自分がどこを歩いているか分かりません。北を上にして地図を見ることが未だにできないので、私もLDの傾向があると思っています。
さて、私なりにお話をまとめましたので、今回も箇条書きで示します。
1「発達障がい」とは、発達にアンバランスがあり自分の努力だけでは改善しない生物学的な特性をもち日常生活での著しい支障(適応障害やストレス、対人関係のトラブル)がある。
2「パステルゾーン」とは、発達に軽いアンバランスがある。(診断名が付くほどではない)20パーセントいると言われている。クラスにもいると言うこと。
3「ハンターセオリー:適材適所」とは、ADHD状態はサバンナでは障がいどころか、獲物を捕らえる才能になる。すぐに判断して行動ができる。得意なことで欠点をカバーする力を付けることができる。
4「脳科学研究からの効果的な支援」とは、「やる気スイッチを入れる」…・実力+1の課題・達成感・成功が予感できる課題(成功体験がポイント)・特性に合った運動(卓球などは個の対応なのでいい。野球ならピッチャー、キャッチャーがいい。外野は気が他に散ってしまう。)・興味のあること・ドーパミンが放出される前の行動を繰り返す(半分できたところでほめる。『半分しかできていないじゃないか』は禁物。
5「作業記憶障害」とは、指示・ルールを忘れる。時間・情報管理が苦手。話が聞けない。衝動をコントロールしにくい。板書・暗算が苦手2つ以上の内容を同時に保持できないなど。
6「存在と行動を分ける」とは、何かできないことがあってもダメ人間じゃない。発達はみんな違う。みんなをイライラさせているのはその子の行動です。存在は好きでいること。例えば、「うちの子は花粉症です」と「うちの子はアスペルガーです」は同じである。その子の存在は同じである。
7「セルフエスティーム:自尊感情」とは、自己イメージに対する周囲の評価をもとに自分自身が価値ある存在だと感じ、自分を大切にしようと思うこと。セルフエスティームを高めてあげることが大切。適切な評価を。過大評価はダメである。
8「セルフエスティームを高める方法」とは、・人格と行動の分離・誰も責めない「なんでできないの」ではなく「どうやったらできるかな」・成功体験(クラスでその子の役割をもたせ、活躍させる場を意図的に作る)・失敗した時がチャンス(ねぎらいの言葉かけ「頑張っているのに残念だね」)・不完全が自分を好きになる(周りの子が共感・同感し、好きになってあげること、苦手な所を共有するするとすぐに本題に入れる)×「うちの子はダメな子」は禁句。・「宿題やったら、テレビ見ようね」は○、「宿題しないと、テレビを見せない」は×。・遊びながら負ける練習も必要(囲碁や将棋等もいい)
9「深い信頼関係を築く視点」とは、・評価しないで話を聴く。・あなたの視点で話を聴く。・共通点を探して共有する。・相手の言った言葉の1部を(特に感情)繰り返す。自分が好きなものは相手も好きだと思ってはいけない。
10「クラスのいじめを撃退する」には、・イガイガ言葉の徹底排除(冗談でも「死ね」等はダメ。冗談だったらいいもダメ×。嫌なことは人によって違うことを教える。自分がいいと持っても相手は嫌がっていることがある。例えば、触られるのがいやとか、大声がいやなど。・ほんわか言葉を増やしましょう。(ありがとう、助かる、うれしいなど)
11「過敏反応」に対しては、(過敏反応:掃除機の音、叱責の声、シャワーが針が刺さるように痛がるなど)共感を繰り返すことが大切。しかし、ある時間だけは我慢させることも必要。
12「分かる指示・学習スタイル」とは、
○視覚型…メモ、視覚化、ルールを書いておく
○聴覚型…口頭、「○○君」と呼んでから指示を出す、DVD教材、「今何をするんだったかな?」と聞く。
○体得型…体験学習、一緒にやる
○わからない指示は聞かなくなる。(こそあど言葉は、ダメ×。「こんなところでこんな遊びをしてはダメ」は通じない。視覚障がい者の人に話すように話すこと。
○言われたとおりに受け取るので、「どうしてちゃんと授業を受けないの?出なさい。」と言うと、教室を出てしまう。
今回も沢山のことを書いてしまいました。何かの参考にしてください。上に書いたことは、発達障がいでなくても子育てや教育に通じる多くの示唆があると思います。子どもの豊かな成長のために共に手をとり合っていきましょう。写真は「東京都立多摩桜の丘学園」の校舎です。
校長 井上正彦