特別支援教育についてNO4さて、私なりにお話をまとめましたので、今回も箇条書きで示します。 1「発達障がい」とは、発達にアンバランスがあり自分の努力だけでは改善しない生物学的な特性をもち日常生活での著しい支障(適応障害やストレス、対人関係のトラブル)がある。 2「パステルゾーン」とは、発達に軽いアンバランスがある。(診断名が付くほどではない)20パーセントいると言われている。クラスにもいると言うこと。 3「ハンターセオリー:適材適所」とは、ADHD状態はサバンナでは障がいどころか、獲物を捕らえる才能になる。すぐに判断して行動ができる。得意なことで欠点をカバーする力を付けることができる。 4「脳科学研究からの効果的な支援」とは、「やる気スイッチを入れる」…・実力+1の課題・達成感・成功が予感できる課題(成功体験がポイント)・特性に合った運動(卓球などは個の対応なのでいい。野球ならピッチャー、キャッチャーがいい。外野は気が他に散ってしまう。)・興味のあること・ドーパミンが放出される前の行動を繰り返す(半分できたところでほめる。『半分しかできていないじゃないか』は禁物。 5「作業記憶障害」とは、指示・ルールを忘れる。時間・情報管理が苦手。話が聞けない。衝動をコントロールしにくい。板書・暗算が苦手2つ以上の内容を同時に保持できないなど。 6「存在と行動を分ける」とは、何かできないことがあってもダメ人間じゃない。発達はみんな違う。みんなをイライラさせているのはその子の行動です。存在は好きでいること。例えば、「うちの子は花粉症です」と「うちの子はアスペルガーです」は同じである。その子の存在は同じである。 7「セルフエスティーム:自尊感情」とは、自己イメージに対する周囲の評価をもとに自分自身が価値ある存在だと感じ、自分を大切にしようと思うこと。セルフエスティームを高めてあげることが大切。適切な評価を。過大評価はダメである。 8「セルフエスティームを高める方法」とは、・人格と行動の分離・誰も責めない「なんでできないの」ではなく「どうやったらできるかな」・成功体験(クラスでその子の役割をもたせ、活躍させる場を意図的に作る)・失敗した時がチャンス(ねぎらいの言葉かけ「頑張っているのに残念だね」)・不完全が自分を好きになる(周りの子が共感・同感し、好きになってあげること、苦手な所を共有するするとすぐに本題に入れる)×「うちの子はダメな子」は禁句。・「宿題やったら、テレビ見ようね」は○、「宿題しないと、テレビを見せない」は×。・遊びながら負ける練習も必要(囲碁や将棋等もいい) 9「深い信頼関係を築く視点」とは、・評価しないで話を聴く。・あなたの視点で話を聴く。・共通点を探して共有する。・相手の言った言葉の1部を(特に感情)繰り返す。自分が好きなものは相手も好きだと思ってはいけない。 10「クラスのいじめを撃退する」には、・イガイガ言葉の徹底排除(冗談でも「死ね」等はダメ。冗談だったらいいもダメ×。嫌なことは人によって違うことを教える。自分がいいと持っても相手は嫌がっていることがある。例えば、触られるのがいやとか、大声がいやなど。・ほんわか言葉を増やしましょう。(ありがとう、助かる、うれしいなど) 11「過敏反応」に対しては、(過敏反応:掃除機の音、叱責の声、シャワーが針が刺さるように痛がるなど)共感を繰り返すことが大切。しかし、ある時間だけは我慢させることも必要。 12「分かる指示・学習スタイル」とは、 ○視覚型…メモ、視覚化、ルールを書いておく ○聴覚型…口頭、「○○君」と呼んでから指示を出す、DVD教材、「今何をするんだったかな?」と聞く。 ○体得型…体験学習、一緒にやる ○わからない指示は聞かなくなる。(こそあど言葉は、ダメ×。「こんなところでこんな遊びをしてはダメ」は通じない。視覚障がい者の人に話すように話すこと。 ○言われたとおりに受け取るので、「どうしてちゃんと授業を受けないの?出なさい。」と言うと、教室を出てしまう。 今回も沢山のことを書いてしまいました。何かの参考にしてください。上に書いたことは、発達障がいでなくても子育てや教育に通じる多くの示唆があると思います。子どもの豊かな成長のために共に手をとり合っていきましょう。写真は「東京都立多摩桜の丘学園」の校舎です。 校長 井上正彦 特別支援教育についてNO3さて、今回は、7月19日(金)に「東京都立八王子特別支援学校」で行われた研修会に行きましたので、その時の報告を兼ねて、発達障がいに伴う対応の在り方について、まとめてみました。内容は「感覚統合の理論に基づいた支援について」です。講師は、作業療法士の松井匠先生です。以下に大切だなと思うことを箇条書きでお知らせします。何かの参考になればと思います。 1人間の行動には、「感覚」-「脳」-「運動」が関わっている。「姿勢の崩れ」や「落ち着きのなさ」等はやる気や意欲のなさではなく、脳に原因があると言われている。子どもの実態から把握することが大切である。 2常にほどよい挑戦、ちょっと頑張ればできることをさせることで、脳の発達を促す。 3自己肯定感を常に感じられる環境に居ること。 4脳や脊椎等の神経系は6〜12歳に発達する。よって、小学校の時期の教育が大切である。 5発達障がいによって発症する「感覚の過敏性」…雨が痛い。シャワーが痛い。エンジン音を嫌がる。雷や花火を怖がるなど。本人にとっては苦痛なことだと理解すること。 6ボディーイメージの3要素。「感覚」…触る、触られる時に感じる。「固有受容覚」…手足や身体の動きを感知する。(目を閉じていても動きや重さ、関節の曲り、抵抗等を感じる)「前庭覚」…姿勢の維持・調整等に関わるもの。(重心が分かる。眼球運動。交感神経と副交感神経の調整など)この3つの要素が調和よく連携しないことが発達障がいのある子どもには出やすい。 7発達障がいのある子どもには感覚統合障がいの1つである「感覚調整障がい」が出やすい。身体や環境からの感覚入力に対して低反応もしくは過剰反応を示すこと。例えば、少しの刺激でもなんでもかんでも過剰に反応し脳の中では混乱したり、反対に沢山の刺激を与えても満足しないことが起きる。 8「感覚調整への対応」…感覚過敏な場合は、・情緒の安定を図る。(教室の構造化、不安の改善、体調を整えるなど)・まずは刺激を遠ざけ、安心感を与える。低反応な場合は、・必要に応じて刺激を得られる活動に取り組む。・生活スケジュールに刺激の入力を組み込む。(勉強の前に背伸びや腕を伸ばすなど) 9検査をしないでオペをする医者はいない。〜アセスメント(実態把握)から始める〜ことが大切である。 10プロセスを重視した評価が大切。適切な課題設定。子どもの自発的な挑戦が1番大切。 11「どんなほめ方がいいのか?」 ○触覚…握手・背中をさするなど。 ○固有…ぶるぶる握手・マッサージなど。 ○前庭…身体を揺らす・高い高いなど。 ○視覚…笑顔・花丸・シールなど。 ○聴覚…ほめる言葉・拍手など。 沢山のことを学びました。私自身がまだ整理が付いていません。発達障がいを抱えた子どものために、出来るところから始めようと思います。少しは、参考になればありがたいです。また、これからも自己研鑽に努めていきます。 上の写真は、「八王子特別支援学校」の写真です。台町3−5−1にあります。 校長 井上正彦 |
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