授業寸景 No31
授業寸景 No31
某月某日 第5校時 国語 単元名「消しゴムころりん」。 各自、立って音読(1−3の場面)。読み終えたものから座って いく。読みの遅い子が3人。指導者はその子らの傍に行き、支援読 み。細やかな配慮である。 そして、内容の振り返り。一問一答で内容を全体で確認する。こ れが初任者?って感じ。見事なものだ。 今日の学習は、4の場面。 「ゆきひろと目を合わせた時のさおりの気持ちを想像しながら読む」 と丁寧にゆっくりと板書。 指導者がこれを書く間、子どもたちは静かに待っている。結構長 い文章だから、これくらい間をとると少しざわついたりするものだ けれど、それがない。見ていて感心した。学習への構えがしっかり と身についているとみた。 4の場面を範読。読む声の大きさ、ことばの明確さ、テンポ、申 し分なし。 範読する場合は、一度目は本を見せないで聞かせる、二度目は本 を見させて聞かせる。三度目は子どもたちにもささやき読みをさせ ながら、などの工夫をするとなおいいね。 範読の後は、各自で音読。懸命に音読する子どもたち、なかなか いい。 次に、さおりの気持ちのわかるところに線を引きなさいと指示。 子どもたちは、それぞれ黙読しながら鉛筆を持って線を引く。 この「線を引かせる」ことであるが、3年生あたりまでは「線を 引く」時くらい、すべて定規を使わせるようにしたい。子どもたち の手指をもっと働かせ、神経をより繊細にさせるために。指導者は、 当然定規を使って引くこと。フリーハンドで線・図を書くのは、も っと高学年になってからでも遅くはない。手指を鍛えることは、頭 脳を鍛えることでもある。ココロしたい。 そして、それぞれが「線を引いた」ところを「班」で話し合う。 なかなかテンポ良く授業を進めていく。 ところで、子どもたちを「班にして学習させる」場合は、その理 由と目的をしっかりと指導者が把持しておくことが大切だ。形ばか り班にしても学習効果が上がるとはかぎらないのだからね。 また、全体学習、個人学習、グループ学習の「必然と連関」を常 に考えておくこと。一般的には、授業は、「全体で学習(つたえあ う、考えあう)する段階―個人学習(考える)・グループで学習( 考えあう)する段階―全体で学習(きたえあう)する段階」という 過程をたどる。 言い換えると、「知る(つたえあう)―わかる(わかりあう)― できる(きたえあう)」、これが学習過程の基本構造。これをしっ かと踏まえて日々の授業を構想することが大事。 さて、このあとの展開、「線を引いたところを話し合う、発表す る、ワークシートに記入する」は、時間の配分が足りず、十分に子 どもたちを活動させることができなかったように思う。それが少し 残念だった。 いずれにしても初任者とは思えない指導振り(物腰に落ち着きと 若々しさ、明確な指示・発問、適切な言葉遣いと対話応答)で、随 所にキレがあった。 立派に立派。 授業寸景 No30
授業寸景 No30
某月某日 第4校時 国語 学習のめあて、学習課題を模造紙(拡大プリント)に印刷、それを 黒板に掲示。これは、わかりやすくていい。本時の学習の全体を視覚 ではっきりと捉えることができた。 この、はじめの段階で、この時間の授業の成否がほぼ決定される。 課題を全員で読む。すでに子どもたちには読む「構え」ができてい る。それに加えて、指示を出す指導者のことばが明確毅然としていて、 聞いていて心地よい。教師2年目とは思えぬほどである。 4学年担任2度目の余裕が感じられる。 第一段落の内容を確認する。指名すると、立って子どもが答える。 この応答もよい。細かい部分をあらかじめ準備した「絵カード」など をつかって視覚に訴えていく。なかなかうまいものだ。 指導者と子どもたちのやり取りも活発、メリハリがあっていい。子 どもの発言をうまく引き出して、それを指導者がまとめていく。 続いて第2段落に入る、読む。どのような内容か、再び児童に問う、 そして指名する。一言でいうと「自転車にまつわる四季の思い出」と いうところかな。 ここで、指導者は、四季それぞれの「ぼく」の思い出や場面の様子 がわかる「ことばや文章」を書き抜くように指示。「季節」がわかる 『ことば・ところ』、「ぼく」のしていることがよくわかる『ことば・ 文章』に注目させる。 そして、それをプリント(配布済み)に記述させる。時間は10分、 ぴしゃりという。子どもたちは集中して書く。 このとき指導者は机間巡視しながら指示を出していたが、これはあ まりいい方法とはいえない。 全員に問いかけたり指示を出したりするときは、タイミングが大事。 子どもたちが何かに集中しているときは、頭上通貨の指示や問いかけ はできるだけ避けたほうがいい。 子どもたちの「頭脳と体」が動き始めているときに、追加の指示や 発問を補足的に次々と出していくのは、そもそも授業準備の段階での 詰めが甘いということだろう。状況の変化に対応するといえば聞こえ はいいが、要するに状況把握が不十分であるということだ。優れた指 導者は、常に子どもの「先の先まで」読んでいるものだ。 さて、子どもとのやり取りを通して、ことばと文章を読み取る。こ とばを追求しながら子どもに問い、答えさせ、それをプリントに書き 込ませていくのである。 春のところ、夏のところ、秋のところ、冬のところ。 それぞれの枠内に鍵となる「ことば・文」が書き込まれ、書き込ま れた「ことば・文」を通してその段落の内容が次第に鮮明になってい く。 ノートにそのプリントを張るように指示をして、授業終了。 教師2年目にしては、なかなかいい授業だった。これは、お世辞で はない。 授業寸景 No29
授業寸景 No29
某月某日 第3校時 国語 朝練の反省。6年生としての心構えをしっかと説く。子どもたち の反応がとてもよい。 宿題の提出、班長の役どころ、学習・学級のきまりが定着してい る。てきぱきと物事が進んでいく。 社会のプリントに書き込まれた内容を発表する国語の授業。 チェックカードを配布。それを使って評価しあう。発表(話す) ―聞く―評価(考える)―話し合い(きたえる)の構造をもつ授業 である。これが「わかりあう授業」のひとつの形でもある。 さすがにチェックカードはよく考えられている。 「伝える、わかる、きたえる」の大項目、そして、伝えるは「声の 大きさ」と「演技力(表現)」、わかるは「内容」と「テーマ(主 張)」分化されて5段階評価され、それらをまとめて「総合点」を 記入するようになっている。 そして、きたえるは「ここがよかった」と「もっとこうすればい い」に分けられていて、どちらも文章記述となっている。 ええ、もちろん観察している私もチェックカードいただき、一人 の評価者となりました。 発表会「古墳を作ったのは、だれ?」 指導者はよく透る声で、まず、全体で発表者を確認する。そして 「発表者は、発表の準備、記録者は、記録の準備をしなさい。」と 続ける。指導者が冗談を入れながら(雰囲気を和らげる)言い終わ ると、子どもたちはいよいよ動き出す。 発表者(二人一組、二人の会話応答を通して自分たちの主張を述 べる)は前に。みんなの顔が上がったら発表をはじめる。 以下は、私のチェックカードから。(子どもたちの評価はもっと 厳しくて鋭くて温かい) 1番ペア 声の大きさ4点、演技力4点、内容4点、テーマ4点、 総合16点。 話すテンポがよかった。会話応答では、もう少し間を取るほうが よい。 2番ペア 声の大きさ4点、演技力3点、内容3点、テーマ3点、 総合13点。 自分の考えを入れたのはよい。会話がぎこちなかった。練習不足 かな。 3番ペア 声の大きさ4点、演技力5点、内容5点、テーマ5点、 総合19点。 独り言が効果的、説明がわかりやすい。声の小さいところがあっ た。 4番ペア 声の大きさ4点、演技力5点、内容4点、テーマ5点、 総合18点。 表現力はいうことなし。気持ちがよく伝わった。もっと生々しさ が欲しい。 5番ペア 声の大きさ4点、演技力4点、内容4点、テーマ3点、 総合15点。 独自性がある、セリフが面白い。テーマの訴えが弱い。自分たち が笑ってる。 このような評価を子どもたち同士でどんどんさせて、子どもたち の持つ力を鍛えていくのである。 指導者は、机間巡視しながら抜かりなく初手の批評者を選んでお き、さも偶然かのように指名し、「よかったところだけ」をまず指 摘させていく。 「よさから入る」、ここがこの指導者の優れたところである。大い に学ぶべきところである。 授業寸景 No28
授業寸景 No28
某日某月 第3校時 国語 プリント配布。 一人読みから入る。 学級の雰囲気は落ち着いている。3年生から4年生へ、その成長 の後が見える。 一通り読んだところで1班さんに指名。 「自分がどういうところに気をつけて読むか、それを考えながら読 むこと」、指導者は落ち着いた声でやさしく指示をする。 指名された子は、立ち上がって読む。 このごろは座ったままで読ませる場合が多いように思うが、立っ て読ませることの良さを改めて感じたものである。 立つことで意識・気持ちが変わる、脳の働きが身体を伸ばすこと によっていっそう刺激を受け、活発になる。声が出る、声が広がる、 声が届く、耳が立つ、聞く者の意識がその人に集中する。 指導者が子どもたちに問う。「よかったところはどこかな、どん なふうによかったかな」。 子どもたちが答える。みんなに聞こえる声がよかった。気持ちが 出ていた。 ここでNO4のプリント(本時の学習内容)を配る。名前を書い て、ノートに貼っておこう。 「さあ、机の上は勉強がしやすいようになっているかな」。 指導者は、要所要所でこのような言葉かけ・注意を行い、子ども たちの学習意識を高めさせていく。子どもたちへの言葉かけのタイ ミングは、経験で身につけるほかないものである。その経験の深さ を感じさせる。 「NO4、誰か読んでくれますか」。 指名する。このときも一人読みから入る。 読んだ後、すぐに指導者は評価(共感し、誉める)する。このあ たり、ごく自然で見事。 誉める、これが大切ですね。いつでもどこでも指導の基本は、ま ず誉めること。この段階では、とにかく「誉める」を惜しんではい けない。 「やい、とかげ」と板書。 以下、文章に即して内容を読み取っていく。 必要に応じて文章を動作化させ、言葉の意味を問い、言葉にこだ わり、文章を検討させ、イメージを膨らませて内容を少しずつ読み 取っていく。 指導者の落ち着いた問いに子どもたちは落ち着いて考え、答える。 このようにして授業が自然に流れていく。 厳しい源流から中流へ、中流からやがて大海へ、これまでの思い がよみがえる。この学年、よくぞここまで、という思いがしてなら ない。 優れた指導者たちに感謝したい。 授業寸景 No27
授業寸景 No27
某月某日 第1校時 国語 朝の会、簡潔・手際よく終了。 元気よく授業開始の挨拶をして、本時の授業に入る。 「熟語しりとり」と板書。なんだか面白そうな授業だ。児童の机の 上にはなにもない。この方が集中する。これは学習の基本、必要以 外のものを置かない。 「熟語という言葉を聴いたことがありますか」。 二つ以上の漢字が結びついてできた言葉と子どもたちが答える。 なかなか的確な答えだ。 「例えば、どんな?」。 黒白、紅白、時間、親子、意見、家族、希望、包容力。 「ふーん、なるほど」。 春夏秋冬、一石二鳥。 「そう、それは四字熟語だね」。 「こういう熟語を使ってしりとりをします」。 全員で簡単な練習をする。「旧、友、人、格、言」などカード 化したものを使用。 子どもたちは、ああだこうだと言葉を紡ぐ。考え合っているの がよくわかる。知的言語ゲームというわけです。 このように子供の興味をひきつけながら授業を進めていく。こ れは、低学年でも高学年でも必須の導入技術である。導入よし。 「ノートを開きなさい。学習の目当てを書きなさい。丁寧に写し なさい」。 指示が明確・簡潔でよい。 「次の9文字を使って『しりとり熟語』を作りなさい」。「説、 解、事、行、積、料、見、代、使」。 ここで子どもたちの頭がさらに働きだす。頭を抱えている子ど ももいることはいる。これはなかなか難しいぞ。全員で検討する。 うまくつながらないで熟語にならないところもあるけど、ま、い いか。 次は、教科書101ページの漢字一覧が載っているところ。こ この漢字を見て熟語を作る。これまで習った漢字(3,4年)を 使って。 いいタイミングでグループ学習に入る。指導者の指示に従って、 それぞれの班で話し合いながら熟語作りに取り組む。指示を出す テンポとタイミングがなかなかいい。 作った熟語をそれぞれの班が発表する。最高13個、最低6個、 このとき発表された熟語の数。 ここで、終了の時間。 高学年らしい歯切れのよい授業であった。 ただ、惜しむらくはこの時間に指導者が押さえておきたい熟語 のすべてをカードにして、子どもたちの考え出した熟語と比較検 討させてみるなどの活動がほしかった。それが残念、 授業寸景 No26
授業寸景 No26
某月某日 第2校時 国語 「暗誦―スピーチ―視写」の構造を持つ授業。 女子をはじめに指名する。この学級にはいつもながら熱いエネル ギーを感じる。 指名された女子が黒板の前に立ち、「むかしむかし」を暗誦し始 める。と、ぴたり静かになる。声に元気があっていい。暗誦を終え ると即座に拍手がでる。友達の発表をよく聞いている証拠だ。 指名二人目、男子。暗誦「坊ちゃん」。うまい。少しばかりつっ かえながらもしっかりした大きな声でチャレンジする姿が印象的。 指名三人目、女子。暗誦「坊ちゃん」。これは、すらすらっとい った分だけ、抜けたところや間違いが少々あった。それをみんなが 支える。なんだか、温かな雰囲気だなあ。 指名四人目、女子。暗誦「むかしむかし」。自信がなくてもトラ イするところがいい。やや一本調子だったから調子をつけるともっ とよくなるね。 指名五人目、女子。暗誦「むかしむかし」。 そして、指名六人目、男子。暗誦「むかしむかし」。 このようにして、暗誦し、発表し、批評しあう指導者と子どもた ち。ここには、教えるものと学ぶものの呼び合う姿が認められる。 最後に、全員で一斉読みして、暗誦は終わり。 次は、「よいさっさ」。全員でリズムよく、楽しみながら読む。 うまく読むものだ。 ここで、指示。「スピーチ評価表だして」。そして、声出しのト レーニング。 板書「リレースピーチ」。 班でそれぞれ分担してスピーチをつなげていく。次の人にどうつ なぐか、次の人がどう受け取るか、ここが大事なところ。 前の人のスピーチをどう受け止めて話すか、自分は何番目、自分 の前は何番目、自分の後は何番目。 指導者は要領よくチェックポイントを話して聞かせる。 ここには教育目標にいう「わかりあう、学びあう、きたえあう」 子どもの姿がある。評価表を使って、一行にまとめて、話しあい、 それを終えたら、友達の感想を聞く。いろいろと質問などに答え、 それをスピーチに生かすわけだ。 一人指名、「生きるために食べる」をスピーチする。本をもとに してのスピーチ。 指導者が指示をだす。「評価は、ABCで」。「評価表を効果的に 使って」。このスピーチに対して、結構厳しい感想と意見が出た。 もっと詳しく、絵がわかりにくいとか、ね。 指導者は、うまく子どもたちの発言・批評を引き出して、話し手 へユーモア交えて助言する。うまいねえ。対話応答が見事。 次は、視写。机の上のものをしまわせる。必要なもの以外、すべ てしまわせる。シャーペンは使わない、鉛筆を使うこと、などなど、 簡潔毅然と指示をだす。 視写のポイントは、高学年らしく複数の言葉を覚えて書く、正確 丁寧に書く、である。そして、10以上の朱が入ると全文書き直し であることを告げて、パンっ、「はじめっ」。見事な集中力。この あとの個別指導。指導者の言葉かけが、また秀逸。呼応一体の感。 7月12日7月9日水道キャラバン
4年生の社会科。単元名「くらしをささえる水」
この学習を体験を下に進めたいとの願いから、水道キャラバンの方々が来校し、5・6校時に体育館で実験を交えながら説明してくれました。 水道から流れるきれいな水、この水はどこから、どのようにして私たちの元に届くのか、プロジェクターに映し出しながら説明してくれます。二人の司会進行役も、なんだか妙にうまい。聞いてみると、役者の目指しているとのこと。なるほど。 実験に入ると活気付く子どもたち。トイレタイムのときに、質問してみました。 「ねえ、どんな実験しているの?」 「水の実験」 「水をどうするの?」 「汚い水をきれいにするの」 「どうやって?」 幾分私もしつこいなぁと思いながら聞いていたら、 「エーット濾過して・・・、とにかくきれいにするの!」で説明終了。 邪魔してごめんなさい。 副校長 これは楽しい
4時間目、職員室で仕事をしていると、突然外から歓声が上がります。いったい何事。こちらは、「指導モード」全開で二階のベランダから外をのぞいてみると、4年生がなにやら実験しています。
よーく見ると、ペットボトルロケットです。ペットボトルに適度な水を入れ、そこに空気入れで空気を送り込みます。中の空気圧がある限界に達すると、水を飛ばしながら空高くペットボトルが舞い上がっていきます。 「こりゃあ、楽しい!」子ども達が歓声を上げるのも、納得納得。後で金子先生に聞いてみると、4年の理科の「空気」での実験なのだそうです。 水泳を終えたばかりの5年生が、足を止めて見学していました。 副校長 かしかし
あいにくの雨、それでも子ども達は遊びたい。
水曜日の午後、雨で校庭は使えませんでしたが、体育館には大勢の子どもたちが遊んでました。 驚くことに、毎回何かしら新しいことがあるのです。それは、スライム作りややじろべえ作りといった工作のようなイベントだったり、指示に従って進んでいくラリーゲームだったり。今回除いてみると、手作りのつるされたトンネル?やボールを入れて競うストラックアウトのようなゲームが用意されてました。 私でも気づくのですから、遊びに目ざとい子ども達は絶対その変化に気がつき、それを楽しみ遊びにやってくる子もいることでしょう。こんな積み重ねた努力が、毎回これだけの子どもたちを集めているのですね。 遊んでいる子ばかりかと思うと机の前で宿題をやっている子どもたちもいます。みんなでやるのが楽しいのかもしれませんね。 副校長 7月8日7月5日授業寸景 No25
授業寸景 No25
某月某日 第2校時 国語 教室に入ると算数の授業が終わったばかり、私が入っていくと、 子供たちはワッとそばによってきて、あれこれ話し掛けてくる。指 導者が2時間目の開始を告げると、子供たちは、直ぐに席に着く。 そして、みんなで声を揃えて私にも元気に挨拶をしてくれた。 「おおきなかぶ」(板書) 「はじめの感想」を書いたノートを配り、それを発表させる。33 人のうち、提出が23人。「何人足りないですか」と指導者は問い、 暗に子供たちに対して「忘れている人は反省しなさい」と伝えてい るのだ。これはなかなか見事である。 指導者は、鍛え上げた「声色」を十二分に活用し、変化をつけて 子供に語りかけ、指示を出し、問い、注意し、集中させる。この見 事な技(これは天性のものか)いつ見ても感心させられる。 順に指名し、子供たちが自分で書いた感想文を前に出て読ませ、 評価をしてほめる。このあたりの呼吸もまた、見事。 時折、子供のノートを開いて中を見させ、どこがいいのか、全体 に問う。長く書いている、つめて書いている、文字をきれいに書い ているなどと、子供たちは1年生なりにしっかりと評価している。 このようにして、どんどん読ませ、ほめて、共感させて、感想を 全体に共有させていく。こうして一通り感想を読ませた後、次の学 習に入る。 「教科書を出して。P64、用意はいいですか」。「本を読む姿勢 は?」、と構えを作らせ、指導者が読む。それを子供たちが「追い かけて読む」。これを繰り返す。この指導者の読みは、さすがに国 語の研究を長く続けているだけあって、リズム、テンポ、声質、抑 揚、ことばの明瞭さ、発音、いずれも聞いているこちらの耳にまで 心地よい。どうすればこのような読みができるのだろうか。 子供たちは本をしっかり持ち、耳を働かせて聞き、指導者の後を 「追いかけ読み」をする。これを何度も繰返すのである。耳の筋肉、 口の筋肉、アタマとココロの筋肉が、じっくりとほぐされていくよ うだ。 次に指導者は、本時間の学習範囲を限定する。この時の指導言が また秀逸。「お家を建てるとき、柱と柱の間がありますね。文章に もあります。先生の指を見て。」というような比喩で、文章の「間」 に注目させるのである。ここが、「段落」であると。 段落枠を客車型に作成したものを黒板に2枚貼り付ける。緑とオ レンジの二枚。 緑のほうに「1 おじいさん」、オレンジのほうに「2 あまそ うな」と板書して、この段落の「読み取り」の勉強することを子供 たちに知らせる。 指導者は言う、「この枠を段落といいます」。再び、この本文に 戻り、音読を繰返す。全員で読み、グループで読み、分担して読み、 指導者と対決して読み、また、全員で読む。 この時のキーワードは「あまい、あまい、大きな 大きな」であ る。それが読みに現れるように「おじいさんはなんていってるの、 どう読めばいいの、どんな声で読めばいいの」とたたみ掛けるよう に指導者は子供たちに問う。 徐々に、徐々に子供たちの意識が、「そこに」集中していくのが わかる。三度読ませ、四度読ませて、なお読ませる。とうとう爆発 的な読みになった。大きな「かぶ」が私の目の前に現れたかと思っ たね。 「だれが、何をまいたのか」を問い、答えさせて段落枠に「おじい さん、かぶのたね」とまとめる。後は次時。 その後、かたかな「コ」「サ」「シ」の勉強。みんなで一斉に指 を突き出し空書きして、プリントに練習。みんな、指導者から大き なマルをもらいました。よかったね。 授業寸景 No24
授業寸景 No24
某月某日 第2校時 国語 「花を見つける手がかり」 教科書を音読する。「指名、○(読点)読み」。このとき、指導 者は教室の後ろに立ち、子供の読みを抜かりなく観ている。読みを 聞いている子供たちの様子に気を配り、集中して聞いていない子を 次々と指名していくのである。 子供たちは気が抜けない、だから、当然しっかり聞き、読む。こ うして「音読の場」、その場の空気が、自ずから締まったものとな っていく。「自然の技」というのは、こういうものをいうのだ。 この指導者には、このような「技」がそこかしこに見られる。学 習の流れも、注意の仕方も、集中のさせ方も、指導者の気負いは微 塵も感じさせない。それでいて、子供たちの学習態度・姿勢は、終 始一貫して意欲的・前向きで、集中感とリラックス感に程よく包み 込まれていて、まさに緩急自在の指導というべき。 子供たちの机の上には辞典が置かれ、その辞典には付箋がいっぱ い挟み込まれている。授業の中で辞典を大いに活用している様子が 伺われる。指名読みの終わった後に、さらに全文まとめ一斉読みで ある。これで、学習の一区切り。 P48〜51、「じょうほうけいじ板を作ろう」(板書) 「読んでください」と指導者。「意味のわからないところは辞典で 調べて」。難語句をいくつか板書する。 司書 分類表 農林水産業 子供たちは、それぞれ辞典を開いて、それらの語句を探し、意味 を調べる。楽しそうに調べている。いうまでもないことであるが、 この、「辞典・辞書」を使って何かを調べる(検索能力)力を育て ることは、基礎学力としてもさらなる学力形成にとっても極めて大 事なことである。 「時間です、国語辞典を閉じましょう。口と辞典を閉じて。」と、 ピシャリ。 「P48を開けてください。全員で読んでみます」。「教科書を持 って、きちんと向いて」と読む姿勢の基本を、「助手(前の席にい る子供)」を上手く活用しながら取らせる。このあたりもまた見事。 そして、全員で一斉音読。良く揃っていて、声も出ている。ここ で指導者は、「隣の人の声が聞こえましたか」と問うた。そうする と、でかすぎる声でも、小さすぎる声でも、隣の人の読む声が程よ く聞こえないということに子供たちは気づくのである。そうして、 もう一度、声を揃えて一斉音読。見事なくらい適度な大きさの声に 収まった。 「P50、ここからは一人読みに入ります。」と指導者。そうする と、またピタリと静かになる。ほんとに良く鍛えられている子供た ちである。 さてこの後、指導者は、「分類」の意味を問い、「分類の実際」 を学ばせる。 分類番号0 百科事典、年鑑 1 心理、道徳 2 歴史、地理、 伝記 3 社会、教育、伝説 4 理科、算数、動植物 5、6、 7、8、9 詩、物語、劇。その実際を子供たちに問い、指名して 答えさせ、分類についての興味を持たせる。 その後、音読に戻る。結構難しいことばのある文章である。「図 書室などでさらにしらべてみるとよい」と指導者。 最後に、「祝」の漢字を学習する。全員で空書きをして、ドリル に書き込んで、終了。 授業寸景 No23
授業寸景 No23
某月某日 第3校時 算数 (教科書)P81 速さ (板書) 蒸し暑い、扇風機は回っているのだがほとんど役立たずの状態。 先が思いやられるわ。 「100メートルを何秒で走ったか」。(前時の復習) 線分図で距離と時間を対比的に示し(板書)、「この図から、何 がわかったのか?」と指導者が問う。 秒速、と子供たちが答える。すかさず「秒速というのは?」と指 導者が問い返す。1秒間に何メートル進んだか、ですと再び子供た ちが答える。 「100メートルを16、53秒で走った。では、秒速は?」。 100メートル÷16、53秒=6、04メートル/秒 「これは、1秒ごとにほぼ6メートル進むということであり、10 0メートル進んだ時に16、53秒かかったということだな。」と 確認する。 「これは、あり得るか」とたたみかけるように問い、「実際は、ス タートして加速がつき、そして、疲れてくるから、6、04メート ル/秒は、平均ということだ」とダメ押しの説明。 「では、同じ距離ではない場合、どうなるのか」と新たに問う。 50メートル 40メートル 30メートル 「速さをどう比べるか、誰が速いのか、何を求めればいいのか考え てみよう」。 「だれが一番速いか?距離も違う、タイムも違う、どうやって速さ を比べるのか」。 「外に出て、実際にタイムを測定してそれぞれの速さを比べてみよ う」。 秒速で比べればいい、1秒あたりで何メートル進むかで比べれば わかると子供たち。子供たちは既にわかっているのだ、賢い子供た ちだねえ。さすがに昨年度学力調査で好成績を取っただけのことは ある。 運動場に出て、それぞれ実走実測することになった。しかし、こ の蒸し暑さだから、全力疾走はなし、「早足」で測定することに。 要は、50、40、30メートルでの移動測定タイムが違えればい いのだ。全力疾走して、暑さでぶっ倒れても困るしな。 測定して再び教室に戻る。子供たちは暑いので下敷きでパタパタ 扇いで涼を取るのだが、気休めにしか過ぎない。見ているこちらも すでに蒸し暑くてたまらないのだからね。 「自分の記録をノートに取り、秒速を計算してください。」と指示。 「計算機の必要な人は取りにきなさい」。簡単にこれだけ言うだけ で、子供たちは自分で計算を始め、秒速を導き出す。計算機を使う (キーを叩く)姿が、これが今様で面白い。 片手うち、両手うち、乱れうち、見事なものだ。日ごろどれほど ゲームで指先を鍛えているか、これを見れば一目瞭然である。 指名して、測定値を発表させ、秒速を求めさせて、それを板書す る。 50メートル―26、25秒−1、9メートル/秒 40メートル―10、13秒−3、9メートル/秒 30メートル― 7、5秒 −4、0メートル/秒 わかった、誰が一番速いか。「距離が違っていても1秒当たりで 比べれば速さがわかる。」と指導者は「念押し、重ね押し」して、 この授業を締めたのでした。 大型絵本
今日7月7日は、大型絵本の日です。
2時間目の終わりの10:00から、先ず2年生が楽しみました。その後の10:20からの中休みに、そのほかの学年が集まって話を聞くことができました。 今回はちょっと変わって、紙芝居でしたよ。タイトルは、「たなばた」と「うみにしずんだおに」の2本立てでした。もちろんいつものように超満員。2年のあるクラスが、学級便りに感想を書いていましたので、ご紹介します。 副校長 柏木会との昼食今日は、学校に対するお気づきの点や今後の計画、さらにはそれぞれのプライベートなことまでざっくばらんに語って、親睦を深めることができました。 私は、この学校に副校長として赴任してきたのは、平成20年の12月1日のことでした。1年と8ヶ月目に入りました。柏木会、保護者、地域の方々等たくさんの方に支えられての1年8ヶ月です。個人的にも、もちろん学校としても大変感謝しております。これからもどうかよろしくお願いいたします。 副校長 7月7日7月6日 |
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