大正15年の文集『白い門』 その2 童謡集以前紹介した文集の続編です。『童謡集』とあるので、みんなで歌ったのかも知れませんね。一つ取り上げてみましょう。 【原文は縦書きです】 私のゆめ N.T.女 ゆうべのゆめは やまめのゆめで とりたかったが とれなかった ふかくてふかくて とれなかった (榊原先生の一言) 『よくあることですね。やまうさぎなどの ゆめをみると なかなかそれがつかめない。おそろしいけものに おっかけられるゆめをみると なかなかにげられない。』 自然の中で育つ子どもの暮らしが分かる話ですね。ヤマメのほかにもカニやトンボ、ヘビ、カケス、栗、栃の実などが載っています。ヒガンバナを「くさりばな」、コオロギを「けさのかかあ」、薬の行商が「どくけしや」さんなど、当時使われていた言葉も登場します。 大正15年の文集『白い門』 その1 榊原美文氏彼は、恩方第二尋常高等小学校時代に青年教師として在籍していました。受け持ちの3年生の作文(綴り方)を、当時の校門を指す『白い門』と題する文集にまとめていました。山里の学校で理想の教育を追求していたのでしょうか。【写真】昔は門柱の上に飾りがあったようですね。 大正と言うと、ロマン主義や古き良き自由な雰囲気を想像しますが、ヨーロッパの大戦や関東大震災があり、文集作成の前年にはラジオ放送開始、12月には大正天皇が崩御され昭和に変わるなど、社会が目まぐるしく動き出す時代でもありました。 |