おはようございます。
先日、ある雑誌の記事に載っていたデータが目にとまりました。
それは、日本民営鉄道協会というところの行った 「 電車内や駅で迷惑と感じるもの 」 についてのアンケート結果をまとめたものです。
ワースト5だけ紹介すると、1位が 「 騒々しい会話や、はしゃぎまわり 」 で、以下 「 ヘッドホンからの音漏れ 」 「 座席の座り方 」 「 携帯電話の着信音や通話 」 「 乗降時のマナー 」 と続いていました。
私は、その記事の中の、「 携帯電話のマナー違反 」 に関するものが4位だったことに対するコメントが少しひっかかりました。
そのコメントとは、「 以前は、携帯電話のマナーに関する苦情はもっと上位にあったが、今回4位だったということは、車内放送やポスターなどでマナー向上を訴えてきた効果が現れ始めているのかもしれない 」 という内容でした。
私は、このコメントに少し違和感を覚えたのです。
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私は、遠距離通勤をしているので、電車に乗っている時間はかなり長いです。 その私の目から見て、以前と比べて車内での携帯電話の使用に関するマナーが向上しているとは思えません。 むしろ、悪化しているのではないかとさえ思います。
にもかかわらず、どうしてそれを 「 迷惑行為 」 として上位にあげる人が減ったのでしょうか?
これは私の個人的な見解ですが、あまりにもマナーを守らない人が多い、あるいはそれが日常的な光景になってしまったので、「 マナー違反 」 と感じる感覚が麻痺してしまったからなのではないでしょうか。
事実、私も以前は車内で携帯電話で通話している人を近くに見かけたら、たいていは注意していました。 しかし、情けないことに最近はあまり注意しなくなってしまいました。
理由は、二つあります。
ひとつは、先ほども言ったように、長い通勤時間の中では毎日のようにマナー違反を見かけるので、注意するのに疲れてしまったから。
もうひとつは、マナー違反であることがわかっているのに堂々と通話する人には、半ば開き直っている人が多いから。 つまり、悪いとわかっていながら平気で通話している人に注意すると、「 俺だけじゃねえだろ!」 とか 「 あんたには関係ねえだろ!」 などと逆ギレされて、いらぬトラブルに発展してしまうからです。
しかし、私は今回そのデータを見て、あまり注意をしなくなった自分を大いに反省しました。 たとえルールやマナーを守らない人が増えたからといって、「 ダメなものは、ダメ 」 なのです。
皆さんの周りにも、似たようなことはないでしょうか?
私が皆さんにお話ししている 「 あ じ み こ し 」 のうち、例えば 「 じ ・ 時間 」 について、自分の周りにノーチャイム着席を守らない人がいると、その人につられてしまうということはありませんか?
「 み ・ 身だしなみ 」 について、スカート丈やシャツ出しなど、学校のルールを守らない人を見て、自分も流されてしまっている人はいませんか?
「 こ ・ 言葉遣い 」 について、先生に対して友達言葉、いわゆる 「 ため口 」 を使って話す人が増えた結果、自分もそういう言葉遣いになってしまっている人はいませんか?
以前、「 赤信号 みんなで渡れば 怖くない 」 というコントが流行りました。
ルール違反も、大勢でやってしまえばまかり通るということですが、これがコントではなく現実に行われてしまえば、それこそ 「 怖い 」 ことになります。
「 無理が通れば道理が引っ込む 」 ということわざもあります。 間違った人や間違ったことが幅をきかすようになると、正しいことが行われなくなる、という意味です。
何が正しくて、何が間違っているのかということは、それをやっている人の数とは関係のないことです。
善悪の基準が、数の論理で決められてしまうようになると、その集団はきわめて危険な状態に陥るということを、忘れてはいけないと思います。
今日のお話は、以上です。