4月24日(金)
昨日、人気アイドルグループのメンバーの一人が、公然わいせつ容疑で現行犯逮捕されました。
報道によると、所属する芸能事務所は、このメンバーの活動を当面の間 自粛させるとのコメントを発表したようですが、職業柄つい 「 酒に酔ったうえでの公然わいせつ罪…。 教員なら自粛どころか即刻懲戒免職だな。」 などと考えてしまいました。
その一方、今回逮捕されたメンバーは、グループの中でも 「 真面目さ・誠実さ・優しさ 」 といったイメージの強い人だっただけに、ファンならずとも逮捕容疑とのギャップには衝撃を受けました。
そして、その衝撃は同時に 「 飲酒 」 のもつ負の側面について、改めて考えさせられるきっかけになりました。
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先日、東京都教育委員会より 「 生活指導の徹底について 」 という通知が出されました。
これは、さる4月7日に発生した、都立高校生1名が仲間とともに河川敷で飲酒したあと、川で溺死するという事故を受けてのものです。 通知文では、児童・生徒の飲酒防止についてさらなる指導の徹底を図るよう促しております。
心身ともに発達段階にある未成年者にとっての飲酒は、当然のことながら 「 心身ともに 」 悪影響を与えます。 これが、未成年者への飲酒を禁じる理由の最たるものでしょう。 悪影響どころか、適量をわきまえていないがために急性アルコール中毒に陥る危険性も高く、生命に関わる事故を起こしやすいことは周知のとおりです。
( 私自身、かつて卒業させた教え子がコンパで飲み過ぎ、そのまま急性アルコール中毒で帰らぬ人となった悲しい経験があります )
少し前のことですが、電車の吊り広告で見かけた、こんなコピーの掲載されたポスターが印象に残っています。
『 飲みたがる10代は、少ない。 飲ませたがるオトナが、実は多い。』
「 ビール酒造組合 」 の作成した、未成年者の飲酒防止を呼びかけるキャンペーンポスターでした。
近年、特に健康面の理由だけでなく、未成年者の飲酒は非行につながるとの認識も高まり、販売したり提供したりする側 ( 飲食店・酒店・コンビニ等 ) への規制が強化されているようです。 法律も整備され、酒類の販売や提供に際しては、年齢確認等の措置をとるよう求められています。
一方で、こちらも法律上、保護者には未成年者の飲酒を制止する義務があるということは、意外に知られていないのではないでしょうか。
「 未成年者の飲酒を知って制止しなかった親権者や監督代行者に対して、科料を科す 」 ( 未成年者飲酒禁止法第3条2項 )
簡単に言ってしまえば、「 わが子の飲酒を知っているのにやめさせなかったら、親であるあなたに罰としてお金を払わせます。」 ということです。
…とするならば、先の吊り広告にあった 「 飲ませたがるオトナ 」 = 「 親 」 だった場合、いったいどうなるのか?
飲酒を止めなかったどころか、飲酒を勧めたわけだから、当然 「 科料・罰金 」 どころではすまないだろうな? 軽くて 「 禁錮 」、へたすりゃ「 懲役 」 かな?
極端な例でたとえるならば、「 わが子の犯罪行為を見ていながら、それを止めなかった罪 」 と、「 わが子をそそのかし、犯罪を行わせた罪 」 とでは、やはり大きな違いがあるよなあ?
…などと、とりとめのないことにまで思いを巡らせてしまいました。
ちなみに、先の亡くなった教え子の住んでいた地域、つまり私が当時勤務していた学校のあった地域は、お祭りで有名な下町でした。 そこは、地域全般に未成年者・年少者の飲酒に寛容なところがあり、特に祭礼の時など、年配者が中学生に 「 今日ぐらいはいいだろう 」 と飲酒を勧める光景を何回か目撃したものです。
そうした地域性と教え子の死因を結びつけるつもりはありません。
ただし、未成年者の飲酒については、当事者への指導の徹底もさることながら、われわれ大人の間違った寛容さも厳に戒めなければなりません。
未成年者の飲酒もまた、「 ゼロ・トレランス 」 ですね。
校長 武田幸雄