4月6日(月)
毎年、1学期の始業式には1年生がいません。 そこで、私は例年、2・3年生向けのお話しをしています。 今年も、2・3年生の皆さんに二つの言葉を紹介させてください。
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ひとつ目の言葉は、アメリカ合衆国第35代大統領であるジョン・F・ケネディーの言葉です。 ケネディー大統領は、1963年に暗殺されてしまいましたが、大統領に就任したときの演説の中で、次のような有名な言葉を残しています。
「 国があなたのために何をしてくれるのかを尋ねてはいけません。 あなたが国に対して何ができるのかを問わなければならないのです。」
ケネディー大統領はこの言葉を通して、「 国民として幸福な生活、快適な暮らしを望むのであれば、誰かがそれを与えてくれるのを待っていてはいけない。 国民一人ひとりがそのために自分にできることを考え、行動しなければならない。」 ということを訴えたかったのだと思います。
もうひとつの言葉は、詩人・小説家である宮沢賢治の言葉です。 「 銀河鉄道の夜 」や「 注文の多い料理店 」 などで知られる宮沢賢治は、次の言葉を残しています。
「 世界が全体幸福にならないうちは、個人の幸福などあり得ない。」
この賢治の言葉と、先に紹介したケネディー大統領の言葉に共通しているのは、こういうことだと思います。 つまり、
「人間は一人で生きているのではない。 一人で生きているつもりでも、社会をはじめとする集団や組織と必ずどこかでつながっている。 周囲の影響を受けたり、周囲に支えられたりして生きている。 逆に、周囲に影響を与えたり、周囲を支えたりもしている。 したがって、自分が幸福に暮らしたい、快適な生活を送りたいと願うのであれば、周囲の幸福や快適な生活について考えなければならない。」
ということだと思います。
ではここで、二つの言葉で使われていた 「 国 」「 世界 」 という言葉を、「 学校 」 に置き換えてみてください。
「 学校があなたのために何をしてくれるのかを尋ねてはいけません。 あなたが学校に対して何ができるのかを問わなければならないのです。」
「 学校が全体幸福にならないうちは、個人の幸福などあり得ない。」
この3月まで、皆さんは1年生であり、2年生でありました。 先生方や上級生から 「 何かをしてもらう 」 ことが多かったと思います。 しかし、今日から皆さんは2年生・3年生です。 3年生は最上級生になりました。 2年生は下級生が入ってきます。
だから、これからは 「 誰かに何かをしてもらう 」 ことではなく、「 自分は別所中のために何ができるのか 」 「 別所中をより良くするために、自分は何をやらなければならないのか 」 を考え、実行してもらいたいのです。
といっても、決して難しいことではありません。 小さなことでかまわないのです。 例えば、落ちているゴミを拾う、元気な挨拶を心がける、大きな声で校歌を歌う、委員会や係の仕事を頑張ってみる、集団のルールやマナーを当たり前のこととしてきちんと守る……。
こうした一人ひとりのささやかな行動の積み重ねが、やがて別所中全体の生活の質を向上させたり、別所中全体の快適な生活につながるのです。 そして、結果としてそのことが、一人ひとりの快適な学校生活となって返ってくるのです。
全体に対する一人ひとりの気配りや思いやり、奉仕の心を具体的な行動として表し、それらを積み重ねることで、昨年以上により良い別所中学校を築いていきましょう。
校長 武田幸雄