おはようございます。
私は、比較的長い時間をかけて電車通勤をしているのですが、この数年間で電車内における公共のマナーが、若い人たちを中心にますます守られなくなってきていることを実感しています。
携帯電話での通話や、携帯音楽プレーヤーのヘッドフォンからの音漏れは言うまでもなく、最近は電車の床にお尻をつけて座り込んでいる若者を、たくさん見かけるようになりました。
では、その人は具合が悪くてそうしているのかというと決してそんなことはなく、私よりも体格のいい若者が床に座り込んで、モバイルゲームに夢中になっていたりするのです。
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また、通勤電車の中で平気でものを食べる人も増えました。
先日も、私が京王堀之内の駅から電車に乗り込んだところ、車両の中にフライドポテトの臭いがまん延していました。 それもそのはず、若いカップルがおいしそうにマクドナルドのセットを食べていたのです。
一般客の多い通勤電車でものを食べ、その臭いを車内にまん延させることは、観光地に向かう長距離列車の中で旅人が駅弁を食べるのとは違い、明らかに迷惑行為です。
電車内でお化粧をする女性も、頻繁に目にするようになりました。
あるときは、私の目の前に座ってお化粧をしていた女性が、多分 「 つけまつげ 」 をつけるためだと思うのですが、手にしていた化粧品をライターの火であぶり始めたのです。
さすがにそれは 「 危険だから、やめなさい 」 と注意しました。
ただし、ここで 「 危険 」 という言葉を使ったのは、その女性のことを心配したからではありません。 万が一車両火災にでもなったとき、私も含めて他の乗客にとって 「 危険 」 だと思ったからです。
電車が揺れて手元が狂い、その女性がやけどしようと何だろうと、そんなのは自己責任だから私の知ったことではありません。
なぜ、このように公共のマナーを守れない人が増えてしまったのでしょうか?
原因をひとつに絞ることは難しいと思いますが、ある本に興味深い考察が書かれていました。
簡単に言うと、多くの若者が小さい頃から個室を与えられ、家族とふれあう時間も空間も少ない中で育ってきている。 そして、学校や地域の中でも同じ価値観を持った人とだけ付き合おうとし、また、それが許される環境にある。 そういう中で育ってきた若者は、プライベート空間と公共の場の区別がつかない傾向があるというのです。
そして、その傾向は、若者が公共の場で、他人の目を気にしなくなっていることにもつながっていると指摘していました。 つまり、一度電車の中で座れば、そこはすでに自分のプライベート空間と化してしまう。 だから、自分の部屋で床に直接座ったり、ものを食べたり、お化粧をしたりするのと同じように、違和感なくそれらの行為ができてしまうという考察です。
私たちは、一歩家の外に出たら、そこはすべて公共の場であるという認識を強く持たなければなりません。 そして、公共の場においては、自分の都合や欲求より、公共のマナーを優先させなければならないのです。
先週、各クラスで登下校時の歩き方のマナーについての指導がありました。
これなども、自分の部屋で友達とおしゃべりしているぶんにはかまいません。 しかし、歩道は公共の場です。 公共の場で友達とのおしゃべりに夢中になるあまり、道いっぱいに広がり、他の歩行者の邪魔になるような歩き方をすることは許されません。
自分の家以外は、すべて公共の場であることを意識して、公共の場にふさわしい行動をとるようにしてください。