今日は二十四節気の夏至であり、「 父の日 」 でもありました。
前者に関しては残念ながらあいにくの梅雨空で、1年で影が最も短くなることを確かめることはできませんでした。
しかし、後者について、父親に感謝することは天候に左右されません。 そもそも感謝の意を示すのに、天候はもとより季節・日にち・時間は問いません。
とはいえ、日頃は照れくさくてなかなか 「 ありがとう 」 の一言が言えない人にとっては、ちょうど良いきっかけを与えてくれる日ではあるようです。
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何年か前になりますが、ある生保会社が 「 あなたにとって父親のイメージを表す漢字 ( 一文字 ) は何ですか?」 というアンケート調査を行いました。 その結果を掲載した新聞記事の切り抜きが手元に残っています。
上位には 「 優 」 「 働 」 「 大 」 「 酒 」 「 力 」 「 厳 」 などが連なっており、どれも 「 ふむふむ 」 と納得できるようなものばかりです。 しかし、年代別の集計結果を見ますと、中には 「 忍 」 「 変 」 「 無 」 などが上位に入っていて、苦笑いではすまされない切実なものを感じさせる漢字もありました。
皆さんは、お父さんのイメージや思い出を漢字一文字で表すとすれば、何になりますか? ちなみに、当時このアンケート結果を見せずに、私が家族 ( 妻・娘二人 ) に同じ質問をしたところ、奇しくも三人とも同じ答えが返ってきました。 しかも、アンケート調査の回答例には入っていない漢字だったのですが、それが何であったかは内緒です。
ところで、本日の読売新聞に、著書 『 がんばらない 』 で知られる諏訪中央病院名誉院長の鎌田 實さんのエッセイが掲載されていました。 いうまでもなく 「 父の日 」 とは、父親に対して感謝する日であるわけですが、それは同時に 「 はたして自分は、感謝されるに値する父親なのだろうか? 」 と自戒の念を込めて我が身を振り返る日でもあります。
その問いにためらうことなく頷けない我が身にとって、『 いいお父さん 〜 自信持って、いつかなれる 〜 』 と題されたこのエッセイは、ホッとさせられる内容でした。
「ダメなお父さんだってきっと、いつか、なんとかなる。 信じていい。 へこたれないことだ。」
「 今、うまくいっていないお父さんたちにも、自信をもってもらいたい。 時間をかければ、その気になれば、親子は理解し合うようになる。 焦らずにゆっくり、ゆっくり。 いつか、いいお父さんになれるはず。」
「 いいお父さんが日本に増えるといい。 もっともっと厚みのあるいい家庭が生まれる。 いい家庭が増えれば、それが集まっていい地域になり、さらにいい国になるはずである。」
「 まずいい家庭を作ろう。 そのためにはお父さんの力が大切である。 がんばらなくてもいいけどへこたれないで欲しい。 いいお父さんが多くなることを祈っている。」
鎌田さんは、かつて17歳の年ごろの娘さんに 「 お父さんなんか嫌い 」 と言われたことをきっかけに、時間をかけて自分の生き方を変え、父と子の絆を作り直したとか。
「 ゆっくり時間をかけて、一緒の時間を過ごし、一緒の本を読み、できるだけ一緒にご飯を食べ、一緒に旅をした。 いろんな話をしているうちにわかり合ってきた。」
その経過は、新刊 『 へこたれない 』 に書かれているそうです。 子どもにとって 「( 都合の ) いいお父さん 」「( 使い勝手の ) いいお父さん 」「( 調子の ) いいお父さん 」 になるのは簡単ですが、本当の意味で 「 いいお父さん 」 になるためには、お父さん自身の自己改革が必要なようです。
鎌田さんが今年度の 「 ベスト・ファーザー賞 」 を受賞するきっかけともなったこの著書は、私も含め世の父親たちにとり一読の価値があるかもしれませんね。
さて、明日からまた新たな1週間が始まります。
今日、子どもからもらった「感謝」の言葉を励みに、梅雨空の下、通勤電車に乗り込むことにいたしましょう。
校長 武田幸雄