12月1日(火) 午後11時 現在
朝の情報提供後、1名の新たな罹患報告がありました。( 合計8名 )
引き続き、感染予防に努めてください。( 写真は、本日6時間目の校庭 )
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さて、今日から12月、師走を迎えました。
保護者の皆様におかれても、いよいよ忙しくなられるのではないかと拝察いたします。 時節柄、くれぐれもご自愛ください。
さて、その師走の初日、胸の中に寒風の吹くような新聞記事 ( 以下、読売新聞 ) が目に飛び込んできました。 他紙でも大きく取り上げていたようなのでご覧になった方も多いと思いますが、朝刊1面に掲載されたその記事の見出しは、「 小中高の暴力 最悪6万件 」 というものでした。
記事によると、昨年度の児童・生徒による暴力行為は、前年度より約13%増えて 5万9618件と、過去最多を更新したそうです。( 文部科学省の調査 )
「 器物損壊を除く暴力では、4件に1件は被害者がけがをして医療機関で治療を受けており、感情を抑制できずにけがを負わせるような実態が浮かんだ 」と、記事は伝えています。
データによると、約6万件の暴力行為のうち、中学校での事例が7割以上を占めています。 栃木県の公立中学校で実際にあった、以下のような事例も報告されていました。
「 放課後の教室で、3年生男子が女性教諭の顔などを殴り全治1週間のけがを負わせた。 宿題の作文を書いておらず、その場で書くよう指導されただけで突然キレたといい、無抵抗の教諭を殴ったり蹴ったりした。」
新聞記事はまた、あるカウンセラーの 「 意思疎通が下手で、言葉にする前に手が出る子供が増えている 」 「 家庭の経済的な困窮を背景に、ストレスをため込んでいる子供が増えている。 ささいなことで感情を爆発させる子に、そうした子供が多い 」 というコメントを紹介していました。
校内暴力増加の背景に、困窮家庭の増加や格差社会があるのかどうか、その根拠となる具体的なデータは示されておりません。 かといって私は、先のカウンセラーのコメントを頭ごなしに否定するものでもありません。 むしろ、「 意思疎通が下手で … 」 という意見には、全く同感です。
ただし、過去少なからず校内暴力の現場に立ち会ってきた経験則から、困窮家庭の増加を、直接的に校内暴力の増加要因と結びつけたくないのです。
私は、家庭の経済状況がどうであれ、家族の人間関係、とりわけ親が子供にどうかかわっているかにこそ、深い因果関係があるように思います。
私の経験則に基づき、親子関係という視点から、校内暴力を起こしやすい子供の一例を挙げさせていただきます。
● 日常的に、乱暴な言動をとる親の姿を見たり、暴力を肯定するかのような親の発言を耳にしたりしている子供
● 高水準な成績や進路先の強要、過剰なしつけ、失敗を許さない姿勢など、常に親からプレッシャーをかけられ続けている子供
● 「 忙しくて子供のことにかまっていられない 」 「 自分のことは自分で責任をとらせる 」 といった家庭の事情や方針(?)から、本来親から受けるべき教育や指導を受けていない子供
● わが子が周囲に迷惑をかけても、わが子 ( と、その親である自分 ) の非を認めない親に守られ続けている子供
● 親から学校や教員の悪口を聞かされ続けている子供
繰り返しますが、以上はすべて私の経験則に基づく一例です。
また、もしも経済的な困窮が上記のような親を生み出す原因になっているのだとしたら、カウンセラ−の指摘のように、困窮家庭の増加と校内暴力の増加には因果関係があるのだと思います。
しかし、親 ( 家庭 ) の経済力にその原因を求めたとき、私たちは生徒の暴力行為をどのようにくいとめればよいのでしょうか。
決めぜりふの 「 社会が悪いから 」 「 政治が悪いから 」 「 大人が悪いから 」 という指摘をするのは簡単なことです。
しかし、必要な解決策は漠然とした抽象論ではなく、明日から実行できる具体的な方法論でなければならないのです。
保護者会や学校説明会のたびにご説明申し上げているので、もうすっかりご承知かと思いますが、本校の方針の柱のひとつに 「 ゼロ・トレランス ( 寛容ゼロ = ダメなものはダメ ) 」 があります。
本校では、暴力行為や破壊行為を決して許しません。
まして、対教師暴力は、学校という集団生活の安全と秩序を根底から覆す行為であると認識しています。 そのため、外部機関とも連携した強い姿勢でこれに対処することにしております。
保護者の皆様におかれては、そうした本校の方針にご理解をいただくとともに、暴力行為を否定するご指導をよろしくお願い申し上げます。
同じ本日付け読売新聞の夕刊のコラムに、多少救われた気がしました。
そのコラムは、今年度の全国小・中学校作文コンクールで文部科学大臣賞に輝いた作品について述べ、最後を次のように締めくくっています。
「 … これ ( 作文コンクール ) を報じた今日の朝刊には 『 小中高の暴力6万件 』 がある。 が、温かい家庭で自分をしっかり表現できる子なら、学校でもキレて暴力を振るったりはしないだろうと思った。」
校長 武田幸雄