現在3階の廊下を歩いていると、2学年の学級委員会の作成したポスターが目にとまります。
いずれも 「 身だしなみ 」 を整えるためのキャンペーンポスターで、「 服装の乱れは心の乱れ 」 「 品格は身だしなみに比例する 」 「 毎日が面接試験 」 「 第一印象は服装で決まる 」 など、センスの良いキャッチフレーズと絵が描かれています。
一方、3年生の皆さんは、いよいよ高校入試が始まりました。
その際に行われる面接対策として、制服のほつれを繕ったり、制服をクリーニングに出したりする人もいるかと思います。
今日はそんなこともあって、別中生に3年間で身につけてもらいたい基本的生活習慣 「 あ じ み こ し 」 の 「 み 」 = 「 身だしなみ 」 についてお話しさせてください。
「 身だしなみ 」 と似ている言葉に 「 おしゃれ 」 があります。 どちらも、服装や装飾品による自己表現という点では共通する言葉です。
では、「 身だしなみ 」 と 「 おしゃれ 」 は、どう違うのでしょうか。
私は 「 公私 」 の違い、つまり 「 公 ( おおやけ )」 と 「 私 ( わたくし )」 の違いではないかと思います。
「 おしゃれ 」 は、自由で制限がありません。 したがって、私的な場所、私的な時間で楽しむべき自己表現です。 それに対して、学校や会社など公的な場所、公的な時間における自己表現は、公 ( おおやけ ) の基準に照らしたり、公 ( おおやけ ) の場で許される範囲内で行わなければなりません。
これが 「 身だしなみ 」 であり、当然のことながらそこには 「 おしゃれ 」 と違って、ある程度の制約というものが生じます。
例えば、ピアスなどのアクセサリーをつけたり、お化粧をしたり、髪の毛を染めたり、下着が見えそうなミニスカートや腰パンを履いたりといったことは、若者の間で流行っている 「 おしゃれ 」 です。 ですから、それらの自己表現は私的な場所、私的な時間で行わなければなりません。
別所中学校は、公 ( おおやけ ) の場所です。
したがって、そこで楽しむべき自己表現は 「 おしゃれ 」 ではなく、別所中の基準に照らし、別所中という場で許される範囲内の 「 身だしなみ 」 でなければなりません。
にもかかわらず、公 ( おおやけ ) と 私 ( わたくし ) を区別せずごちゃごちゃにしてしまうことを 「 公私混同 」 といいます。
服装や頭髪のことで指導を受けた人の中に、「 誰にも迷惑をかけていないから、いいじゃないか 」 「 これが、自分の個性だ 」 などと開き直る人がいます。
しかし、公 ( おおやけ ) の場における 「 公私混同 」 は、それ自体周囲に迷惑をかける行為であるということをはっきり言っておきます。
繰り返しますが、「 おしゃれ 」 も 「 身だしなみ 」 も自己表現の一種です。
そして、自己表現とは、自分の生き方や考え方を外に示すということです。
流行りの化粧、流行りのファッション、流行りの着こなし … 。
そうした 「 おしゃれ 」 に心を奪われる一方で、公 ( おおやけ ) の基準、公 ( おおやけ ) のマナー、清潔感、品格といった 「 身だしなみ 」 を省みないその人の生き方・考え方とは、一体どんなものなのでしょうか?
私には、きわめて浅はかで貧しい生き方、自分勝手な考え方のように思えてなりません。
「 おしゃれを、するな 」 とは言いません。 しかし、最低限この別所中という公 ( おおやけ ) の場では、別所中の基準に照らし、別所中という場で許される範囲内の 「 身だしなみ 」 を心がけてください。