「中学生のみんなへ」 第1学年 岸道哉

 山のように出た課題。一方で友達にも会えず、部活動もなくなり、なぜこんな目にあうのかと考えてしまうこともあると思います。
 歴史の中で同じような出来事がなかったかを調べてみると、伝染病の流行で学校が長期にわたって休業することが実は何度もあったことが分かりました。そんな中を生きた1人を紹介します。
 今から355年前のイギリスではペストという伝染病が流行っていました。首都ロンドンだけで約7万人の人が亡くなったそうです。このとき、ロンドンから北に100キロメートルほど離れたウールズソープという小さな村に、22歳の青年がいました。彼は、ロンドンのケンブリッジ大学で大学の仕事を手伝いながら苦労して勉強を続けた結果、その努力が認められお金をもらいながら大学に通える奨学生の資格を得たところでした。しかし、せっかく通う資格を得たのにペストの流行で大学が休校になってしまい、彼はやむなく、また生まれつき体が弱かったので自分がペストに感染することを避けるためにも、故郷のウールズソープに戻ったのです。彼はそのときも体調を崩していたようですから、きっと不安な気持ちでいっぱいだったでしょう。
 この青年の名はアイザック・ニュートン。実はこの後1年半の間に、万有引力(重力)の法則や、太陽光がプリズムでいろいろな色の光に分かれることなどの重要な発見をします。この発見がなければ、人類が地球を離れて月に行くことも、液晶ディスプレーでカラーの画像や動画を見ることもできなかったか、だいぶ遅れたでしょう。
 彼がロンドンを離れウールズソープに着いたとき、そんな大きな発見をすることになると思っていたでしょうか。
 1人で勉強していると、何のために勉強しているのか、それが役に立つのか分からなくなることがあるかもしれません。しかし勉強することで、ニュートンのように自分の興味が広がったり、思いもつかなかったような発見ができたりします。また、今まで気づかなかった自分の価値に気づいたりもするのです。
 この休業期間に、自分自身のペースで勉強することをぜひ身につけください。この力は、今後の中学校生活でも、上級学校でも、また、社会に出て働くようになってからも大きな財産になります。
 これをできるようにするため、具体的に次の2つのことを勧めます。
 1点目はふだんの学校生活と同じように目覚まし時計のアラームを50分おきにセットしてチャイム代わりにすることです。スマートフォンなどではなく、目覚まし時計を使うことがポイントです。そして、50分のうちに、どこまでやるかの「めあて」を決めておいて、その「めあて」を達成するために50分間集中して勉強するようにするのです。「めあて」は少し楽に達成できるようなものにして、それを超えた充実感をもてるようにしましょう。
 2点目は、休業期間にやりたいことを全てリストにまとめ、それを見やすい所に貼っておくことです。休業中の課題や、これを機会に復習したいこと、漢検・英検・数検の勉強などです。そして、達成できたものから順番に線を引いて消していきます。リストは少し細かくつくると達成感が味わえて持続できます。
 休業期間を有意義に過ごした七中のみんなに会える日を楽しみにしています。

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