「保護者の皆様、生徒のみんなへ」 校長 三田村裕

<保護者の皆様へ>
 政府から緊急事態宣言が出されて4日、保護者の皆様はいかがお過ごしでしょうか。時短等で収入減が予想されたりお客さんが減って経営が苦しくなったり、電車やバスの通勤、あるいは営業や接客等不特定多数の人と接するなど日々ウイルスの感染に不安を抱えていたりと、中身は異なっても誰もが不自由を味わい不安を抱えているのではないでしょうか。これ以上感染者や死者が出ないことを、とりわけ保護者や地域の方をも含めた第七中学校の関係者にウイルスがやってこないことを切に願います。
 さて、昨日10日(金)で学年ごとに日を変えて行った分散登校が終わりました。その際生徒にたくさんの学習課題を渡し、休業期間中の生活について十分話しと、今できることは行いました。が、これから4週間弱、夏休みと違い面談や補習、部活動等が一切ない、つまり生徒と学校とのつながりが全くない状態になることに、私たちは次の不安を抱いています。
 生活のリズムが狂い、それが学校再開後の生活に影響を及ぼすのではないか。学校に行かない今の生活に慣れ、毎日学校に通う必要はあるのかと意識が怠学や不登校へと向くのではないか。家族以外の人と直接的なコミュニケーションが減少することで、自己の存在意義を見失ったり抑うつ状態になったりするのではないか。
 どれも心配ないという生徒もいるでしょう。しかし、そうではない生徒も少なからずいる気がします。この臨時休業が生徒にマイナスになってはいけません。保護者の皆様も大変な日々を過ごされていると思いますが、ぜひ各家庭でのご指導をよろしくお願いいたします。
 私たちも何かできることはないかと考えました。そして、生徒の気持ちが学校から離れたり孤独感にさいなまれたりすることがないよう、生徒や保護者に向け毎日ホームページでメッセージを発信することにしました。明日以降も本校の教員全員が1日に1人ずつ思いを綴りますので、是非お子様と一緒にお読みください。よろしくお願いいたします。

<生徒のみんなへ>
 「今までで最も重要な1年間は?」。生まれてから12〜15年しか経っていないあなたたちにこういう質問をするのは無理があるかもしれません。答えられなくても今はかまいません。
 私がこのことを問われたら、迷わず「浪人時代の1年間」と答えます。しかも胸を張って。
 高校3年生のとき、受験した大学は全て不合格。人生で初めて味わった大きな敗北感・挫折感にあまり勉強しなかったことへの後悔、さらにこの先1年以上進路未定、大学に行けるのか、社会に出られる日は来るのかといった不安が加わり、何も手のつかない状態が数日続きました。
 そんなある晩、聴くともなくただつけていたラジオからこんな言葉が聞こえてきたのです。
 「朝の来ない夜はない」……。
 「そうか、そうだよな」。強く響き深く心にしみました。そして「何もしなければ夜のまま。朝を迎えられても、厚い雲に覆われ朝日の見られないものになるかもしれない。朝日がまぶしく輝く美しい朝を迎えられるかはこの1年間の努力で決まる」と思ったのです。
 これをきっかけに猛進しました。少ない日でも1日16時間は勉強、これを入学試験が終わる日までほぼ毎日続けました。友達付き合いも絶ちました。徐々に学ぶことが楽しくなりましたが、それでもこんな毎日でしたから長く長く感じた1年間でした。
 ここまで努力したにもかかわらず第一志望の大学は不合格でした。しかし、やれるだけやったとの自負があったので、さほどショックはありませんでした。これほど懸命に勉強したのは後にも先にもありません。飛躍的に力を付けることのできた1年間でした。そして努力をした分だけ結ぶ実は大きくなるということを身をもって学びました。この浪人経験がなかったら私はもっとダメな人間だったと思います。
 新型コロナウイルスの脅威で外出もままならない今は、誰にとっても「夜」なのでしょう。しかし、「朝の来ない夜はない」のです。おもしろくない日々、つまらない日々が続いているかもしれませんが、学校再開という朝に向け是非努力を続けてください。

※写真は朝日の昇る相模湾とそれをバックに走る寝台特急「サンライズ」です。私が撮りました。前夜高松と出雲市を発車し闇の中を夜通し走ってきた列車はここで朝を迎えました。旅の目的は人により様々でしょうが、車窓の向こうに広がるこの情景に、多くの乗客が希望を抱いたことでしょう。
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