本日は、本校創立20周年記念式典にあたり、八王子市教育委員会を代表されて、教育委員 和田 孝 様をはじめ、近隣小中学校の校長先生ならびにPTAの皆様、青少対など地域関係の皆様、学校評議員の皆様、歴代教職員・PTAの皆様など、ご多用中にもかかわらずご臨席の栄を賜りましたこと、心よりお礼申し上げます。
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本校は、平成2年4月に開校いたしました。
開校当時、全校生徒数はわずかに67名でした。
それが、20年の時を経た今日現在、407名を数えるに至っております。
とはいえ、少子高齢化の波はニュータウンといえども例外ではなく、今から6年前、平成15年度の526名をピークに、生徒数は少しずつ減少してきています。
しかしながら、その15年度でさえ12しかなかった部活動が、現在は19と逆に増えております。 選択の幅が広がったせいか、この数年間で生徒の入部率も上昇しました。
また、過去のデータが残っていないので正確な比較はできませんが、PTAのご協力によって始まった 「 一人一資格運動 」 により、英検や漢検などの資格取得者も飛躍的に増加していることは間違いありません。
これらのことからもわかりますように、歴代の教職員の皆様の熱意、そして、保護者や地域の皆様の温かいご支援・ご協力のおかげで、今日の別所中学校があります。 高い所からではございますが、改めまして御礼申し上げます。
さて、生徒の皆さん。
約2ヶ月前、私は朝礼で 「 成人の日 」 に関連する話をしました。
そのとき私は、中学生のうちから大人になるための準備をしようと訴えかけました。 そして、その第一歩が 「 大人になるとは、どういうことか 」 「 大人とは、どういう人を指すのか 」 という問いを自分に投げかけ、自分なりの答えを出すことだと話しました。
これから先は、皆さんが、すでにその答えを出しているという前提で、お話しさせてください。
本校も、今年で二十歳になりました。
人間で言えば成人、つまり、大人の仲間入りをしたわけです。
では、改めて皆さんに問います。
別所中学校は、学校として一人前の大人になっていると言えますか?
学校に 「 大人 」 という言葉が馴染まないのであれば、「 成熟 」 という言葉でもかまいません。
創立20周年を迎えた今年、別所中学校は成熟した学校になっていますか?
私も、あの朝礼のときから考え続けてきました。
浜崎あゆみさんの 「 Heart place 」 という曲を聴きました。 その中に 「 歳をとっただけの子供も、大人と呼ぶべきなのかな 」 という歌詞がありました。
この言い方は、疑問ではなく反語、つまり、ただ歳をとっただけでは大人とは呼べないと、強く否定しています。
私も、そのとおりだと思います。 開校以来、ただ20年が過ぎましたというだけでは、成熟した学校とは言えないのです。
俳優の妻夫木聡さんの出ているビールのコマーシャルが流れると、見ていたテレビ番組以上に集中してしまいました。
「 大人エレベーター 」 に乗り込んだ妻夫木さんが、39歳や54歳の階で降り、そこにいる大人たちに 「 大人って、何ですか? 」 「 大人になるって、どういうことですか? 」 と尋ねるあのコマーシャルです。
シリーズ物のコマーシャルでしたが、その中でひとつだけ、54歳の階にいたギタリストの返答が心に残りました。 妻夫木さんの問いにそのギタリストは、一言 「 覚悟かな … 」 とつぶやいたのです。
その言葉を耳にしたとき、私の中にストンと落ちるものがありました。
成熟した学校とは、どんな学校を指すのか … ?
私なりに出した答えのひとつは、「 覚悟のある学校 」 ということです。
「 覚悟 」 あるいは 「 決意 」 という言葉でもよいでしょう。 つまり、その学校に通っている生徒や教職員が、学校の一員として覚悟なり決意なりを持っているかどうか、ということです。
開校当時の別所中、10年前の別所中、昨年の別所中を越えようとする覚悟 … つまり、過去の別所中を越えようとする覚悟があるか?
良き伝統を引き継ぎ、改めるべきことは変革しようとする覚悟はあるか?
地域や卒業生の方たちが、誇りに思ってくださるような学校にしようとする覚悟はあるか?
いじめや暴力がなく安心して学習に打ち込める学校、集団のルールやマナーが守られている学校 … 。 そんな当たり前のことが、当たり前にできる学校を築いていこうとする覚悟はあるか?
本日、本校はめでたく 「 成人式 」 を迎えることができました。
しかし、それは単に大人のスタートラインに立ったに過ぎません。
別所中学校を、学校としてますます成熟させるために、私たち一人ひとりが、そうした覚悟を持とうではありませんか。
これからも別所中学校は、30年、40年、50年と続いていくことでしょう。
その中で皆さんが在籍するのは、たかだか3年間にすぎません。
しかし、今日皆さんが抱いた 「 覚悟 」 は、必ず次の学年、そして、次の世代へと受け継がれていくはずです。
今日という日を、創立20周年を祝う日というだけでなく、成熟した学校として新たな歴史を刻んでいくための 「 始まりの日 」 といたしましょう。
平成22年3月10日 八王子市立別所中学校長 武田幸雄