学校HP「コロナウィルス関連」に随時情報を掲載します。

修了式講話要旨

 昨日、一つの中学校が閉校式を迎えました。その中学校は2年前の3月11日に8名の生徒が亡くなりました。そして昨年、皆さん方が励ましのメッセージを送ってくれた陸前高田市内の中学校です。昨年の修了式では、校長先生からのお礼のお手紙の内容を報告しました。今回は、その中学校の2年女子生徒から先日、葉書が届きましたので紹介します。

(葉書文省略)

 陸前高田市内の学校は、あの大震災によって学校数が大きく減ります。葉書を下さった小友中学校も、他の2つの中学校と一緒になり高田東中学校に生まれ変わります。
 このように東日本大震災は沿岸部の教育を大きく変えようとしているだけではなく、その学校が無くなることで、皆が集まる場所も無くなろうとしています。その地に留まりたくとも留まれない生活を強いられている方々も少なくありません。
 しかし今、一方で地域の方々は中学生とともに新たな地域の拠点となる学校づくりを目指し、力を合わせて頑張っています。今、一度、私たちに何が出来るかを考えて行動していく必要があると私は思っています。

 ところで私は、この中山中学校が今と同じように続けられるためには、防災に対するたくさんの知識や知恵だけでなく、地域の方々と一緒に今後も皆で、この学校を作り上げていく必要があると思います。こんな話しがあります。
 アメリカには州によって様々な法律や規則があります。アメリカのバーバラ・スーリングさんという人が、アメリカ各地の 「あまり知られていない法律」を調べました。
  ◇ゆううつな顔をしていてはならない(アイダホ州ポカテロ市) ◇ネコはイヌを電柱に追い上げてはいけない(ミネソタ州インターナショナル・フォールス市) ◇劇場にライオンを連れて入ることを禁ず(メリーランド州ボルチモア市) ◇逆立ちで道路を横断すべからず(コネチカット州ハートフォード市)
 「アメリカ人ってユーモアがある」と思う人もいるでしょう。わたしは、これらの法律、規則を読みながら、どんないきさつでこれらが制定されたのかと、想像力をかきたてられました。なぜなら、わたしたちの行動によって法律・規則がつくられたり、変わることが多いからです。「道路を逆立ちで横断する」人がいたのです。だから、それを禁止しなければならなくなったのです。
 こういう、珍しいというか、特殊な法律がつくられるということは、《当たり前》と思うことが、《当たり前でなくなってきた》ということを意味しています。他の人には《当たり前ではないこと〉が、ある人たち―この《たち》という複数形に注意―とっては、ごく自然なこと、《当たり前なこと》になっているからです。こうしたことは、民族間の生活習慣の違いから生じてくることも多いようです。そのために社会生活が混乱する―その混乱を整理するために、先に挙げたような法律が必要になったのです。

 本校の生徒心得の中には、「遮断機が降りているとき、踏み切りを渡ってはいけない」とか、「花火を他人に向けて打ってはいけない」という項目はありません。それは、そういうことをするような人がいないからです。中山中学校の生徒なら、何が当たり前であるのかを知っているからです。
 「逆立ちで…」みたいな、おかしな校則を作らなければいけないような、そんなオカシナ学校に、この中山中をしたくありません。「人間として当たり前でしょう」、「わたしたち中中生は、そういうことをしないのです」という感覚、声を大切にしながら毎日を生活していきたいものです。今4ページある生徒心得が0ページになるような、そんな学校を私は皆さんや保護者、地域の方、先生方と作っていきたいと思っています。
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