令和5年度修了式 式辞さて、この修了式に先立って、先週の金曜日には卒業式があり、17人の6年生が、南大沢小学校を卒業していきました。4年生、5年生の皆さんは、在校生の代表として、その卒業式に参加しましたね。6年生から学校のリーダーとしてのバトンをしっかり受け取り、引き継いでいく力強い決意を表明したその姿は、大変立派で頼もしいものでした。123年生の皆さんも、委員会活動や縦割り班、運動会や全校遠足、そしてついこの間の「ミニ子供まつり」での6年生の優しく頼りがいのある姿、覚えていますね。「上級生が下級生のことを気にかけ、全ての子供たちがお互いの顔と名前、そして一人一人の素敵なところを知っている」、そんな学校が南大沢小学校です。そしてこのことが南大沢小学校で一番大切にしたい「伝統」です。頼りがいのある6年生が卒業していくのは寂しいですが、この修了式を境に一つ上の学年になる準備が整ったみなさんなら、南大沢小学校の大切な伝統を受け継ぎ、今よりもっと素敵な南大沢小学校を創ることができると期待しています。 そしてもう一つ、忘れてはいけないのが、こうして今日の日を迎えることができた陰で、皆さんのことをいつも応援し、支えてくださった家族、地域の皆さん、先生や学校で働く皆さんがいた、ということです。1年間の終わり、節目の今こそ、「ありがとう」、の気持ちを伝えてください。少し照れ臭いとは思いますが、今日家に帰ったら、通知表を渡すときに、「1年間ありがとう。」と言ってみてください。地域の人に出会ったら、「いつもありがとうございます。」と伝えてみてください。家族や地域の方は、その一言で、全ての疲れが吹き飛ぶくらいうれしくなります。みんなのことがもっともっと好きになります。 さあ、明日から春休みが始まります。桜のつぼみも、けやきの新芽も、道端の草花も、春はみんなぐんぐん大きく成長する季節です。新しい学年で、ぐんぐん成長できるように、しっかり計画を練っておきましょう。新しい自分になる「作戦」を練っておきましょう。4月8日に、皆さんとまた会えることをとっても楽しみにしています。 第39回卒業式 式辞より校庭の桜のつぼみは膨らみ、春の訪れを感じる季節となりました。八王子市立南大沢小学校第三十九回卒業式を、このように子ども達にとって一番親しい皆様に囲まれ、温かい雰囲気の中挙行できますことを、心からうれしく思います。 六年生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。先ほど、一人一人に卒業証書を渡しました。「小学校の全過程を修了」、改めて、六年間本当によく頑張りました。自信に満ちたその表情から、みなさんが過ごした六年間が、そして六年生としてのこの一年間が充実していたことを感じました。 この六年間振り返ると、元号が平成から令和へと変わり、ラグビーのワールドカップ、そしてここ東京でオリンピックパラリンピックが開催されるなど、華やかな面があった一方、新型コロナウイルス感染症の世界的流行、ロシアによるウクライナ侵攻、パレスチナにおける紛争、そして今年一月の能登半島地震など、当たり前の日常を突然奪い去るような衝撃的な出来事も次々と起きました。そうした目を覆いたくなるような現実の陰で、それでも世界中の人々は連帯し、助け合い、励まし合い、明日への希望をつなぎとめようと懸命に努力を続けた六年間であったことも忘れてはいけません。そしてその中には、南大沢小学校の十七人の六年生も入っているのです。未来の教科書にきっと書かれるであろう歴史的な節目の中でも、みなさんはいつも前向きな気持ちを忘れず、自分のもてる力を一歩ずつ、着実に高めてきました。ここ南大沢小学校でなければできない貴重な体験を、一生の財産として心と身体の中に積み重ねてきました。私がこの学校に来たのは昨年の四月ですから、皆さんと一緒に過ごした期間は一年間でしたが、その間にも、何事にも一生懸命取り組み、低学年の児童にも気を配り優しく接する「南大沢小学校の伝統」を日々体現するすばらしい六年生としての姿を何度も目にしました。 委員会活動では、今よりもっと良い南大沢小学校の実現を願って、日々責任感を持って活動にあたりました。能登半島地震や紛争地帯の子供たちを支援するための募金活動にも率先して取り組みました。親せきの家を回って集めたお金を、嬉しそうな表情で、そして誇らしげに募金箱に入れている姿がありました。縦割り班活動では、低学年の子供たちでも楽しめる遊びについて議論し、本番では、いつも審判や見守りの役割に徹していました。運動会の表現種目では、今年から四五六年生によるソーラン節が始まりました。今年から始まったのだから、スタートラインはみんな一緒のはずでしたが、六年生は夏休み前から自主課題として練習に取り組んでいました。お互いに動きを見合い、うまく踊れないところは動画を研究して必死に覚えてきました。それは、ひとえに「上級生として下級生に教える」という立場がもたらした使命感、責任感に他なりません。先日の六年生を送る会で久しぶりに披露されたソーラン節のパフォーマンスを見て、多くの下級生から六年生の姿への憧れの感想が聞かれました。 そして、つい最近も、そんな六年生の「南大沢小学校のみんなのために」という行動を象徴する出来事がありました。三学期になると、多くの学校で六年生による「奉仕活動」が行われます。清掃や修繕、美化活動などが行われることが多いのですが、この六年生は違いました。どうしたらみんなに喜んでもらえるか、みんなの笑顔が見られるか、という視点で「奉仕活動」の中身を話合い、「ミニ子供祭り」を開催することにしたのです。ゲームを考え、準備を済ませると、思う存分遊んでもらえるよう、昼休みに一学年ずつ招待する、という素敵な配慮もしていました。 こうした六年生の行動は、どれも「自分の為」「自分たちが楽しむため」の前に、「誰かの為」「みんなを楽しませたい」を優先しています。「利己」ではなく「利他」の動機に基づいていることに私はとても感動しました。二十一世紀、日本は垂直方向の発展と同時に、水平方向への幸福、ウェルビーイングを追求する時代に入っています。「すべての子供が笑顔になる学校」という今年のスローガンを最前線でけん引した、あるいは最後尾から押し上げたのが六年生であったことを改めて実感しました。みなさんが一生懸命取り組んできたその姿は、南大沢小学校の伝統として後輩たちにずっと受け継がれていくことでしょう。学校のリーダーとしてすばらしい「南大沢小学校」を作ってくれてありがとうございました。 いよいよ四月からは中学生です。新しい出会いや中学校生活への期待にわくわくする一方で、不安を感じている人もいるかもしれません。でも大丈夫。みなさんは一人ではありません。みなさんの周りにいる友達や家族、先生方や地域の方が必ず見守ってくれています。南大沢小学校で培った「やさしさ」を大切に、自信をもって進み、そしてたくさん回り道をして自分だけの人生を歩んでください。 保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。卒業証書を手にする姿に、感慨もひとしおのことと思います。私たち、教職員一同は、お子様の健やかな成長を願って精一杯教育活動を行って参りました。行き届かぬところも多々あったかと思いますが、皆様のご協力、お力添えをいただきましたこと、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。これからは中学校という新しいステージに移ります。義務教育九年間の総仕上げです。いろいろな試練もあると思いますが、お子様の心の支えとなり、一緒に乗り越えて欲しいと願っています。 さあ、みなさん、いよいよ旅立ちの時です。みなさんが中学校で、元気にそして笑顔で活躍することを、心から願って、私の式辞とさせていただきます。 令和六年三月二十二日 八王子市立南大沢小学校 校長 安田 尚民 3月11日全校朝会 「いのちの日」さて、今日は3月11日です。今から13年前のこの日、東日本一帯で震度7という巨大な地震が発生しました。地震に伴う津波、原発の事故などの災害のために、多くの人が亡くなったり家を失ったりしました。ここにいる皆さんはまだ生まれていないころの出来事なので、知らないこともたくさんあると思いますが、大きな災害の中で大切な人を失った深い悲しみ、苦しみ、そして何とか生きていくために助け合ったこの地震のことを忘れないために、3月11日は「いのちの日」と制定されました。そしてこの大震災をきっかけに、防災(災害を防ぐこと)、減災(災害の被害を少しでも減らすこと)、自助(自分のことは自分で助ける)、共助(他の人と協力して助ける)、公助(町や国が支援して助ける)、という考え方が一気に進みました。その教訓は、今年の1月に起きた能登半島大地震でも生かされています。だから、皆さんには、生まれる前の出来事だったとしても、東日本大震災のことについては、よく知っていてほしい、と思っています。 今から13年前、当時6年生の担任だった校長先生は、6時間目に家庭科室で子供たちと「べっこう飴」を作っていました。2時46分、激しい揺れが襲ってきて、みんな校庭に避難しました。震度5くらいだったのですが、これまで経験したことが無いくらい、大きくて長い揺れでした。3月の校庭は寒いし、そのあと何度も大きな余震が続いたので、中には不安で泣いている子もいました。最後の児童を保護者に引き渡したのは夜の21時過ぎでした。そして多摩川沿いを自転車で帰ろうと思ったら、サイクリングロードは歩いて帰宅する人であふれかえっていました。電車も止まり、道路は大渋滞で、携帯電話も全く使えず、人々は学校や会社から何時間もかけて歩いて帰るしかなかったのです。地震の震源から遠い東京でもこれほどの混乱があったのですが、東北地方、それも海沿いに住む人々は、地震と津波によって壊滅的な被害を受けました。一昨年の秋に、校長先生は宮城県の被災地を調査のために回りました。行く先々でお話を伺う中で、いまだに人々の心には深い傷があることを感じました。「いのちの日」に合わせて、テレビや新聞では様々な特集が組まれていると思います。ぜひ、この大きな災害について知り、自分だったら命を守るために何ができるか、しっかり考えてください。校長室の前に東日本大震災についての展示を行います。ぜひ、見て、学んで、考えてください。 3月避難訓練よりさて、みなさん今日は令和5年度最後の避難訓練でした。いつも言っていることなので耳が痛いかもしれませんが、避難訓練は毎回100点でないといけません。「まあ大体できていたので合格」ではないのです。その意味で、今朝の校長先生は不合格です。そして1年生から訓練を初めて6年生になったら安全に避難できるようになりました、でも困るのです。1年生でも「おかしもち」の意味をきちんと理解し、自分の命を守る最善の行動ができなければいけません。この1年間様々な場面を想定した訓練をしてきました。「地震」「火事」「不審者対応」「台風の接近による保護者への引き渡し」などなど。そしていつ起こるか分からない災害に備えて「授業中」「休み時間」「予告なし」「放送機器が使えない」などいろんな状況の訓練を行ってきました。「こうすれば助かる」という一つの正解はないのです。「基本の行動」「おかしもち」以外は、みんな自分たちで考え、全員が安全に避難する、ということが必要なのです。 今日の訓練は「放送機器が使えない」という設定でした。火災が起こると、電源がショートし、この建物全体の電気が使えなくなることは十分考えられます。そうすると、いつものような「訓練、訓練!」という放送は聞こえません。そして「地震」ならば、揺れを感じるので全員が一度に行動を始められますが、「火災」しかも火元から遠い場所では、気づくのが遅れてしまいます。そんな中での避難訓練、鼻や口をマスクやハンカチで覆い、「おかしもち」を守って行動できましたか。上手にできたみなさん、落ち着いて行動できた自分をほめてあげてください。この後、担任の先生と、しっかり振り返りをしましょう。 |